AI時代 2045年の仕事内容「Webデザイナー」編 画面を作る仕事は消えても 目的を形にする仕事は消えない

2045年のWebデザイナー 消える仕事 残る仕事 2045年の仕事

※本連載は2026年時点の統計・公開情報にもとづく未来予測フィクションです。記事中の金額はすべて現在(2026年)の貨幣価値・物価水準に換算しています。

2045年の春。駅前の複合ビル2階にある仕事案内所で、ミチルさんは2枚のWebサイト案を机に並べていました。

向かいに座る佐原航(17歳)は、高校卒業後にWebデザインを学ぶか迷っています。学校の課題で作った自分の案と、AIに同じ条件を渡して作らせた案を持ってきました。

「左がAIです。10分もかからなかった。見た目も、たぶん僕のよりいいです」

ミチルさんは、どちらがきれいかではなく、同じ場所を指しました。商品の写真の下にある「来店予約」のボタンです。

「これは、どうしてここに置いたんですか」

航は少し考えてから答えました。「店に来てほしいからです。ネットで売るより、実物を見てもらう店だって聞いたので」

ミチルさんは2枚を並べ直しました。

「この仕事、正直に言いますね」

AI代替率70%(編集部予測)

2045年時点のAI代替率

(編集部予測)

70%

2045年には、Webデザインの仕事量のうち約70%をAIが担うと編集部は予測します。レイアウト案を何種類も出すこと、文章や画像のたたき台を作ること、画面幅に合わせて配置を調整すること、定型的なコードを書くこと。こうした「作る作業」は、かなり速く、安くなっています。

ただし、70%が消えることと、Webデザイナーという仕事が70%不要になることは同じではありません。残る30%には、依頼者が何を実現したいのかを整理し、何を優先し、どの案を採るかを決める仕事が集まります。

2026年、この仕事の現在地

厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」は、Webデザイナーの仕事を、見た目を整える作業だけでは説明していません。依頼者の要望を聞き、サイトの目的を明確にし、コンセプトを決め、画面のデザインや配置、機能を考え、文章や画像を作り、HTMLやCSSなどで形にすることもあり、動作確認や修正まで行う仕事として紹介しています。

つまり、2026年の時点でも「何を作るか」と「どう作るか」の両方が仕事に含まれています。

そしてjob tagは、すでに生成AIを利用したWebデザインとの競争にも触れています。2045年の変化は、突然始まるものではありません。2026年に見えている流れが、その後さらに進んだ未来として考えるのが、この連載の設定です。

job tagに掲載されている年収の参考値は539万6000円です。これは2025年の賃金構造基本統計調査の結果を加工した掲載値ですが、job tag自身が、職業ページの統計は必ずしもその職業だけの数字を表すものではないと注意しています。ここでは「Webデザイナーだけの平均年収」とは扱わず、現在地を見るための参考値として使います。

2045年、何がこの仕事を変えたか

2045年のWeb制作では、依頼内容を入力すると、AIが複数の構成案、文章、画像、配色、コードをまとめて出すことが当たり前になっています。公開後の利用状況を読み取り、改善案を出すところまでAIが支えます。

そのため、「指示された画面を早く作れる」だけでは差がつきにくくなりました。

一方で、依頼者の言葉は最初から整理されているとは限りません。「若い人にも来てほしい」「高級感はほしいけれど、入りにくくはしたくない」「問い合わせは増やしたいが、電話対応は増やせない」。こうした希望は、ときに同時には満たせません。

何を優先し、何を捨てるのか。その決定に必要な事情を聞き出し、依頼者と合意し、AIに渡せる形まで整理する。2045年のWebデザイナーに残る価値は、画面の外側へ広がっています。

ある一日

「先週、家具店のサイトを作り直していた方が、似た話をしていました」

ミチルさんが話したのは、Web制作会社で働く秋山理人(32歳)の一日でした。

朝、秋山の画面にはAIが作った複数のトップページ案が並んでいます。依頼した家具店は、最初の打ち合わせで「新商品を目立たせたい」と話していました。AIはその条件どおり、新商品の写真を大きく配置しています。

秋山は、前日の打ち合わせ記録を読み返します。店側が本当に増やしたいのは、サイト上の購入ではなく、店への来訪でした。高額な家具ほど、実物を見てから決める客が多いという店側の説明もありました。

秋山はAIに「商品を大きく見せる」案だけでなく、「来店予約までの流れを短くする」案も出させます。そのうえで、店長と画面を見ながら優先順位を決め直しました。

午後は、公開前の確認です。AIは文字の見やすさ、リンク切れ、画面幅による崩れなどを洗い出します。秋山は、その結果をそのまま採用しません。店側が残したい表現と、初めて訪れる人に伝わりにくい表現を分け、直す場所を決めます。

夕方、最後の確認画面で、AIが作った案と秋山が選んだ案の差は小さく見えました。違うのは、そこに至るまでに誰の希望を聞き、何を優先したかです。

2045年のWebデザイナーは、画面を作る人というより、「その画面にする理由」を引き受ける人に近づいています。

消えた業務・残った業務

分類業務
AIに代替レイアウト案の量産/画面幅ごとの調整/定型的なコーディング
AIと協働文章・画像のたたき台作成/利用状況の分析/動作・品質の確認
人間に残る依頼の目的整理/優先順位の決定/依頼者との合意形成

境目は「手を動かすか、動かさないか」ではありません。AIが作ったものを見て、目的に合っているかを判断できるかどうかです。

それでも人間がやる価値

Webサイトの依頼では、相手が欲しいものを最初から正確に言葉にできるとは限りません。

「売上を増やしたい」という言葉の裏に、「初めて来る人の不安を減らしたい」があるかもしれません。「かっこよくしたい」の裏に、「同業他社と同じに見られたくない」があるかもしれません。

ここで必要なのは、AIより上手に絵を描くことではありません。質問し、相手の答えを聞き、矛盾する希望を並べ、決めるべきことを見える形にすることです。

そして、最後に「この案でいきましょう」と言う責任は、依頼者と人間の担当者に残ります。だから2045年にも、Webデザイナーという名前の仕事は残る。ただし、中心にある仕事は2026年より上流へ移っている――というのが本連載の予測です。

2045年の年収

2045年の年収(現在の貨幣価値換算・編集部予測)

  • AIを使い、課題設定・設計・検証まで担う層:800万円〜
  • 指示された画面制作を中心に担う層:400万円前後
  • 参考・2026年の現在地:539万6000円(job tag掲載値。2025年賃金構造基本統計調査の結果を加工した値だが、Webデザイナー単独の統計とは限りません)

編集部は「二極化型」を予測します。制作そのものの単価はAIによって下がりやすい一方、依頼者の課題を整理し、結果を検証し、改善まで任せられる人は、より広い範囲の仕事を引き受けます。

ここで示した2045年の金額は統計予測ではなく、この連載の未来設定です。資格を取れば800万円になる、といった意味ではありません。

この仕事を目指すきみへ

2026年のjob tagでは、Webデザイナーになるために特定の学歴や資格が必要とはされていません。一方で、デザインの基礎的な知識や技術は必要とされています。資格は必須ではありませんが、厚生労働省の技能検定に「ウェブデザイン技能士」があります。

2045年を見据えるなら、学ぶ対象は「制作ソフトの使い方」だけでは足りなくなります。次の3つを、作品づくりと一緒に練習する価値があります。

  • 誰に、何をしてほしいサイトなのかを一文で説明する
  • 複数の案から1つを選び、その理由を言葉にする
  • AIの案をそのまま使わず、目的に合うかを確かめて直す

ポートフォリオに完成画面だけを並べるのではなく、「何を考えてこの形にしたか」まで説明できれば、AIと比べられたときの土俵が変わります。

【コラム】2026年のjob tagにも、もう「生成AIとの競争」がある

生成AIに仕事を奪われるかどうかは、2045年だけの話ではありません。

厚生労働省のjob tagは、Webデザイナーの労働条件の説明で、簡単にWebサイトを作れるツールの普及に加え、生成AIを利用したWebデザインとの競争にも触れています。そして、デザイナーには質の高いデザインや、顧客の要望に合った提案がより求められるとしています。

AIが入ってきたからWebデザインを学ぶ意味がなくなるのではなく、「何を学べば価値になるか」が変わり始めている。2045年の予測は、その延長線上に置いています。

まとめ 画面を作る仕事から、目的を形にする仕事へ

航は、机の上の2枚をもう一度見比べました。

「進学するかは、もう少し考えます。でも、次にサイトを作るときは、先に『何のためか』を書いてみます」

ミチルさんは2枚を航に返しました。

「その一文があると、AIに何を任せるかも変わりますね」

AI代替率(編集部予測):70%。残る30%が、この仕事の中心になります。

2045年、きれいな画面を作る力は、以前ほど希少ではありません。だからこそ、誰のために何を作るのかを決め、その理由を人に説明できる力が、Webデザイナーの仕事の中心に残っていきます。

リファレンス

※本記事は公開情報・統計データにもとづく2026年時点の未来予測フィクションです。登場する人物・施設は架空のものです。制作体制については編集方針・AI利用ポリシーをご覧ください。

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