2026年6月12日、SpaceXが米ナスダック市場に上場した。調達額750億ドルは史上最大のIPOだった。初値は公募価格135ドルを11%上回る150ドルをつけ、終値は160.95ドル。時価総額は初日だけで約2.1兆ドル(約326兆円)に達し、Amazonを上回って世界第7位の上場企業として取引を終えた。
熱狂はその後も続いた。上場から4日目の6月16日、株価は225.64ドルの最高値をつけ、時価総額は一時3兆ドルの大台を超えた。
そこから先の展開が、今この市場で起きていることだ。
3日間で6000億ドルが消えた
転機は6月17日から始まった。SpaceXは週明けに、AI事業と宇宙データセンターの設備投資を賄うための初の社債発行を発表した。市場はこれを「思っていたより現金がない」と読んだ。
6月22日、株価は前日比16.4%安の154.60ドルで引けた。3営業日の累計下落率は23%に達し、この間に時価総額から6000億ドル(約97兆円)超が消えた。
さらに傷が広がった。宇宙関連株への波及は凄まじく、6月中にヴァージン・ギャラクティック、レッドワイヤー、インテュイティブ・マシーンズ、モメンタスの4銘柄が月間で50%超の下落を記録。宇宙関連ETFも約6年ぶりの最悪月間パフォーマンスに沈んだ。
6月28日時点のSpaceX株価は153.23ドル。最高値から32%の下落だが、公募価格135ドルはまだ上回っている。
「夢の値段」が先に走りすぎた
なぜここまで急落したのか。答えはシンプルだ。株価が実態より先に走りすぎていた。
SpaceXのIPO価格ベースの株価売上高倍率(PSR)は94倍だった。PSRとは「時価総額÷年間売上高」で計算される指標で、高いほど将来の成長に賭けた価格になる。通常の製造業では1〜3倍程度、成長著しいテクノロジー企業でも20〜30倍が多い。94倍という数字は、SpaceXが今後10〜20年にわたって年率30%前後の成長を続けることを「前提として」価格に織り込んでいることを意味する。
会社の実力が劣るわけではない。Starlinkはすでに年率換算130億ドル超の売上を生む安定した収益源だ。ロケット再利用技術でSpaceXは世界の宇宙打ち上げ市場の50%以上を握る。しかし2025年の純損失は49億ドルで、赤字経営は続いている。
「会社が優秀かどうか」と「株が割安かどうか」は、まったく別の問いだ。
OpenAI上場延期が追い打ちをかけた
SpaceXの急落に重なるように、6月25〜26日にはOpenAIが年内に予定していたIPOを2027年以降に延期する案を検討していると複数メディアが報じた。アドバイザーがテック株の不安定を理由に慎重な対応を促したという。
SpaceXとOpenAI、二つのニュースが重なったことで、市場では「AI・宇宙バブルへの冷や水」という読み方が広がった。今週月曜(6月29日)の日経平均は一時1300円超の下げを記録したが、押し目買いが入り前週末比107円高で引けた。ソフトバンクグループはOpenAIへの大口出資を抱えることから急落する場面があった。
「もうひとつの時限爆弾」が控えている
今後の注目点が一つある。ロックアップ解除だ。
ロックアップとは、IPO直後に内部関係者(役員・従業員・初期投資家)が自社株を売却できない期間のことをいう。価格が落ち着くまでインサイダーが大量売却して株価を崩さないための仕組みだ。
SpaceXの場合、マスクCEO以外の保有株約20%が最短で6月30日——つまり明日——に解除される予定だとされている。さらに8月以降も段階的に解除が続く見込みだ。現在のSpaceXの浮動株比率は発行済み株式のわずか5%とされており、ロックアップ解除後に売り圧力が高まれば、株価への影響は無視できない。
バブルが終わるとき
「IPOで熱狂→上場後に急落」という構図はSpaceXが初めてではない。2020年代前半の電気自動車(EV)バブルでも、2021〜22年のSPAC(特別目的買収会社)ブームでも、同じパターンが繰り返された。技術は本物でも、熱狂が先行しすぎると「現実との乖離を埋める調整」が必ずやってくる。
今回の急落が「バブル崩壊」なのか「健全な調整」なのかは、まだ誰にも分からない。会社の事業は今も進んでいる。Starlinkは世界中に電波を届け、ファルコン9は今週も打ち上げを重ねる。ただ、株価と事業は別物だ。
「宇宙の夢は本物か」という問いと、「今の株価は高すぎるか」という問いに、同じ答えは要らない。
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【コラム】IPOとロックアップ解除、基本のしくみ
株式の新規公開(IPO)では、上場前から株を保有している役員・従業員・初期投資家に「一定期間は売らないでください」という制限がかかる。これをロックアップという。制限期間は企業によって異なるが、上場後90〜180日程度が一般的だ。解除されると内部関係者が市場で売却できるようになるため、需給が悪化して株価が下落しやすい傾向がある。日本でも新規上場株がロックアップ解除のタイミングで下げることは珍しくない。今回のSpaceXは最短で上場18日後という異例の早さだ。
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SpaceX(SPCX)株価データ(Investing.com)
スペースX株16%安、時価総額65兆円消失(日本経済新聞、2026年6月23日)
SpaceX上場の輝き早くも陰り、宇宙関連株が6月に集団急落(BigGo、2026年6月)
米オープンAI、27年にIPO延期を検討か(日本経済新聞、2026年6月26日)
※本記事はAIを活用して作成し、編集部が公的機関の発表などの一次情報にもとづいて事実確認を行っています。詳しくは編集方針・AI利用ポリシーをご覧ください。


