竹下登への「ほめ殺し」事件から生まれた法律が、いまも政党事務所を守っている

竹下登への「ほめ殺し」事件から生まれた法律が、いまも政党事務所を守っている あなたの知らない官報

2026年7月8日付の官報に、見慣れない告示が載った。総務省が、東京都中央区の一角を「政党事務所周辺地域」に指定する、というものだ。指定の主役は社会民主党の全国連合本部。この地域では今後1年間、拡声器の使い方が制限される。

なぜ特定の政党の事務所だけが、こうした指定を受けるのか。たどっていくと、1980年代に起きたある事件に行き着いた。

中央区の一角が、1年間だけ「静かな場所」になる

総務省告示第257号によると、指定されたのは東京都中央区の佃・湊・新川・入船各エリアの一部(社民党全国連合本部が所在する明石町周辺)。期間は2026年7月10日から2027年7月9日までの1年間で、「社会民主党全国連合周辺地域」という名称が付けられている。

この指定は、参議院議長からの要請を受けて総務大臣(林芳正氏)が行った。根拠となっているのは「国会議事堂等周辺地域及び外国公館等周辺地域の静穏の保持に関する法律」(昭和63年法律第90号)第3条第1項。指定・解除のいずれも官報での告示が義務付けられている。

そもそも、何が制限されるのか

この法律が規制しているのは、拡声器の使用だ。指定された地域内で、その場の静穏を害するような方法で拡声器を使うことが禁じられる。違反すると、6か月以下の懲役または20万円以下の罰金という刑事罰の対象になる。

対象になるのは選挙運動や国・自治体の業務、災害・事故時の緊急対応などを除いた拡声器使用全般で、街宣車のスピーカーなどが典型例とされる。

きっかけは「ほめ殺し」事件だった

法律ができた経緯は、なかなか物騒だ。1987年、右翼団体・日本皇民党が、当時次期首相候補と目されていた竹下登氏に対し、街宣車の大音量で持ち上げる言葉を延々と流し続けるという抗議活動を行った。いわゆる「皇民党事件」と呼ばれるものだ。

翌1988年12月には、当時のソ連外相シェワルナゼ氏の来日も控えていた。要人の往来にあわせて街宣活動が過熱する事態を避けたい、という思惑も重なり、法律は同年12月に急遽成立した。国会議事堂周辺・外国公館周辺・政党事務所周辺という3つの区分は、このときの経緯をそのまま反映した構成になっている。

実は、めったに使われない法律

法律ができてから、実際の適用はどの程度あるのか。2014年の報道によると、警察庁は「国会議事堂周辺での静穏保持法に基づく摘発は、年間1件程度」と説明していたという。決して頻繁に発動される法律ではない。

今回のように政党事務所を対象とする指定は、外国公館周辺の指定と比べても報道されることが少なく、官報を丹念に見ないと気づきにくい制度のひとつと言える。

【コラム】指定は政党からの「申請」ではない

この指定、実は政党側が望んで受けるものではない。あくまで衆議院議長または参議院議長のいずれかが総務大臣に要請し、総務大臣が地域と期間を定めて指定する仕組みになっている。政党事務所を狙った街宣行為などへの対応として、国会側の判断で動く制度だ。

2026年7月8日 官報 第1743号(総務省)
国会議事堂等周辺地域及び外国公館等周辺地域の静穏の保持に関する法律(e-Gov法令検索)

※本記事はAIを活用して作成し、編集部が公的機関の発表などの一次情報にもとづいて事実確認を行っています。詳しくは編集方針・AI利用ポリシーをご覧ください。

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