国道の工事現場、蛾のために水たまりを残す

国道工事の裏側に蛾のための水たまり あなたの知らない官報

国土交通省が2026年7月13日、福井県敦賀市で計画されている国道8号の改築工事について、土地収用法に基づく事業認定を告示しました。告示文には、道路の設計や収用の範囲だけでなく、工事によって影響を受ける蛾や魚、植物への対策がかなり細かく書かれています。

どんな工事なのか

対象となるのは「一般国道8号改築工事(敦賀防災)並びにこれに伴う県道、準用河川及び農業用道路付替工事」です。起業者(事業の実施主体)は国土交通大臣で、福井県敦賀市大字五幡・大字赤崎の一帯、延長3.8kmの区間が対象になります。

国道8号は新潟市から京都府舞鶴市までを結ぶ総延長569.9kmの幹線道路で、国から重要物流道路に指定されています。ところが敦賀市内のこの区間(現道)には、道路防災点検で対策が必要と判断された箇所が3か所あり、過去には土砂崩れによる通行止めも起きています。加えて、道路構造令が定める最小曲線半径を満たさないカーブが残っていて、正面衝突事故が複数発生している状況です。現道の一部は津波防災地域づくりに関する法律に基づく津波災害警戒区域にも指定されており、津波発生時に通行止めとなるおそれもあります。

こうした背景から、災害時の代替路確保と安全性向上を目的に、新しいルートの整備が計画されました。

環境保全措置の中身

土地収用法にもとづく事業認定では、得られる公共の利益と失われる利益とを比較し、事業計画の合理性を判断します。今回の告示で目を引くのは、失われる利益の項目にある動植物への配慮の具体性です。

この工事は法律上、環境影響評価法の対象外の事業ですが、起業者(国土交通省)は同法に準じた環境影響評価を任意で実施しています。その結果、区間内やその周辺で、学術上または希少性の観点から重要な動植物が複数確認されました。

動物では、国内希少野生動植物種に指定されているクマタカ、環境省レッドリストで絶滅危惧ⅠB類とされるアマサギ、絶滅危惧Ⅱ類のサシバ、準絶滅危惧のオナガミズアオ本土亜種(蛾の一種)、福井県の絶滅危惧Ⅱ類に指定されているクロヨシノボリ(魚)、準絶滅危惧のミサゴなどです。植物では、絶滅危惧Ⅱ類のナツエビネ、準絶滅危惧のホンゴウソウが確認されました。

これらへの対応として、告示には次のような措置が挙げられています。

  • サシバ・ミサゴ(猛禽類):工事の騒音で営巣活動に影響が出ないよう、営巣期を避けて工事を実施する
  • オナガミズアオ本土亜種(蛾):道路の存在で分断された採餌地が乾燥して消失しないよう、土のうなどで雨水をため、土壌の保湿を行い、採餌地を確保する
  • クロヨシノボリ(魚):道路によって河川が分断され移動が妨げられないよう、渡河部に移動経路を確保する
  • ホンゴウソウ(植物):生育環境の一部が消失するおそれがあるため、周辺の生育地へ移植する

工事による改変箇所やその周辺で新たにこれらの動植物が確認された場合は、専門家の指導・助言を受けて対応する方針も示されています。

ルート選定の考え方

告示では、区間を「五幡区間」と「赤崎区間」の2つに分け、それぞれ複数案を比較した経緯も説明されています。五幡区間では、申請案の山側ルートが、既存の農地の面積の減少を抑えつつ、施工性や事業費の面で優れているとされました。赤崎区間では、申請案の中央ルートが、トンネル中心の山側案と比べて地表の改変は一部あるものの、海側案より改変面積が小さく、こちらも施工性・事業費の面で優れていると評価されています。

こうした比較検討を経て、国土交通省は本件事業が土地収用法第20条の各要件を満たすと判断し、事業認定を告示しました。

【コラム】土地収用法とは

土地収用法は、道路や河川など公共の利益となる事業のために、国や自治体が私有地を強制的に取得(収用)できる手続きを定めた法律です。ただし、事業者の言い分だけで進められるわけではなく、事業の公益性や必要性、得られる利益と失われる利益のバランスなどを国が審査し、「事業認定」という手続きを経る必要があります。今回のように、事業認定の告示文の中で、対象地の動植物への配慮が具体的に説明されるのも、この審査の一環です。

2026年7月13日 官報 第1746号(国土交通省)

※本記事はAIを活用して作成し、編集部が公的機関の発表などの一次情報にもとづいて事実確認を行っています。詳しくは編集方針・AI利用ポリシーをご覧ください。

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