「かんぺき」の「ぺき」は壁ではありません 傷ひとつない宝の名前です

「かんぺき」の「ぺき」は壁ではありません。下にあるのは玉、由来は史記の一場面、常用漢字表の用例は完璧と双璧の2つ 漢検2級クイズ

【漢検2級】 書き問題

この言葉を漢字で書くと?

かんぺき

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正解

完璧

うんちく

「かんぺき」を漢字で書くと「完璧」です。「完壁」と書いてしまいがちですが、正しいのは下が「玉」になっている「璧」のほうです。

「壁」は建物のかべ。「璧」は玉、つまり宝石を指します。文化庁の常用漢字表(平成22年内閣告示第2号)で「璧」の欄を見ると、音は「ヘキ」ひとつだけ、用例として挙がっているのも「完璧」と「双璧」の2語しかありません。日常で出会う場面が限られている漢字です。

この言葉の出どころは、中国の歴史書『史記』の廉頗藺相如列伝にあります。

趙の恵文王が、楚の「和氏の璧」という玉を手に入れました。天下に知られた宝でした。それを聞きつけた秦の昭王が、15の城と交換したいと言ってきます。趙にとっては困った申し出でした。渡さなければ秦が攻めてくる。渡しても城がもらえる保証はない。

そこで使者を買って出たのが藺相如です。彼は王にこう言いました。城が趙に入れば、璧は秦にとどめます。城が入らなければ「臣請完璧歸趙」——私が璧を完(まっと)うして趙に帰らせます、と。この一節が「完璧」の語源です。

秦に着いた相如は、昭王が城を渡す気配のないことを見て取ります。璧に傷があるのでお示ししますと言って手元に取り戻し、後ずさって柱により、髪が逆立って冠を突き上げるほどの怒りで言いました。無理に奪おうとするなら、この頭は璧もろとも柱で砕けるだけです。

さらに相如は、5日間の斎戒を求めて時間を稼ぎ、そのあいだに従者へ粗末な服を着せ、璧を懐に抱かせて、抜け道から趙へ帰らせました。

結末は少し意外です。相如は殺されず、礼を尽くして帰されました。そして「趙亦終不予秦璧」——趙もついに秦に璧を渡さなかった。秦も城を渡さなかったので、宝は元の持ち主のもとに残りました。

つまり「完璧」はもともと、抽象的な「欠けたところのない状態」ではなく、預かった玉を傷ひとつなく持ち帰るという、具体的な行為を指す言葉でした。「完壁」と書くと、宝の話がかべの話に変わってしまいます。

【コラム】もうひとつの「璧」

常用漢字表がもう1つ挙げている「双璧」も、同じ玉の字です。並べて優劣がつけがたい2つのものを指すときに使います。こちらも「双壁」と書くとかべが2枚並ぶことになるので、書くときは下の部分に気をつけてください。

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