ナイルワークスの特別清算 「0.373%」と清算までの経緯をたどる

ナイルワークスの特別清算 協定認可と「0.373%」 あなたの知らない官報

2026年9月10日付の官報(本紙第1787号)19ページに、農業用ドローンを手がけてきた株式会社ナイルワークスについて、東京地方裁判所民事第20部が特別清算の協定を認可したことが掲載されています。決定日は2026年8月26日です。

目を引くのは「0.373%」という数字です。ただし、これは会社の債権全体に対する一律の回収率ではありません。協定が「弁済対象債権」と定めた部分についての弁済割合です。

0.373%がかかるのは「弁済対象債権」の残高

協定は、弁済の対象になる債権を「弁済対象債権」と定義しています。やまびこ債権回収株式会社、株式会社高知銀行、株式会社りそな銀行、東京信用保証協会の4社については各協定債権の元本部分、住友商事株式会社については2024年10月30日貸付分の元本部分で、元本残高は1億1858万8248円と記載されています。この5社が「弁済対象債権者」です。

協定債権そのものは、元金だけでなく利息や遅延損害金も含むと定義されています。0.373%がかかるのは、その全体ではなく、いま挙げた元本部分の残高です。

ナイルワークスは、協定の認可決定が確定した日から1か月以内に、弁済対象債権者へ弁済対象債権残高の0.373%にあたる金額を支払うことになっています。弁済を受けた後、弁済対象債権者は各協定債権の残額について債務を免除します。

一方、弁済対象債権者ではない協定債権者については、認可決定が確定した日に各協定債権の債務を全額免除する内容です。協定債権者は別紙記載の7社とされています。

さらに協定には、0.373%の弁済とは別に、ナイルワークスが受け取った金銭の相当額として、住友商事へ557万8472円を支払う規定があります。住友商事からの借入金で納めた労働保険料・住民税の誤納付が返金された分204万3247円と、2025年7月1日以降の取引で生じた消費税の還付金相当額353万5225円を合わせた金額です。

第5項の弁済後に新たな財産が見つかった場合は、これを換価し、換価代金から必要な費用を差し引いた残額を、弁済対象債権者へ割合に応じて追加弁済する規定もあります。協定が定めているのは0.373%の弁済だけではなく、別枠の支払いや、追加弁済の可能性まで含んでいます。

特別清算は、解散後の会社を清算する手続

東京地方裁判所は、特別清算について、解散後に清算中の株式会社について、清算の遂行に著しい支障を来すおそれのある事情や債務超過の疑いがある場合に、裁判所の命令で開始され、裁判所の監督の下で行われる特別な清算手続と説明しています。

協定型では、清算株式会社が債務の弁済と弁済されない部分の放棄を内容とする協定案を作り、債権者集会で可決された後、裁判所が認可し、協定を実行して終結へ進みます。今回の掲載は、特別清算の「開始」ではなく、この「協定認可」の段階です。

2019年には累計約24億円を調達

ナイルワークスは2019年3月、INCJ、住友化学、住友商事、クミアイ化学工業、未来創生2号ファンド、Drone Fund2号を引受先とする総額約16億円の第三者割当増資を発表しました。この時点で、創業以来の累計資金調達額は約24億円とされています。

当時の発表では、ナイルワークスは農業用ドローンの設計・開発・製造・販売、生育診断技術や栽培技術の研究開発、農業クラウドサービスの開発・販売を事業内容としていました。

2024年には農林水産省が事業計画を認定

2024年4月19日には、農林水産省が、みどりの食料システム法に基づくナイルワークスの基盤確立事業実施計画を認定しました。計画の概要は、化学農薬の使用低減に向け、データに基づく自動飛行と農薬の局所散布が可能な国産農業用ドローンを普及拡大するというものです。

なお、この認定は2025年8月6日付で取り消されており、農林水産省のページでは「過去に認定を受けた基盤確立事業実施計画」の一覧に掲載されています。

開発リソースは2025年6月にNTTイードローンへ

転機が公表されたのは2025年です。株式会社NTT e-Drone Technology(以下、NTTイードローン)は同年5月27日、ナイルワークスから農業用ドローン事業の開発リソースを譲り受けることで合意し、6月30日の実行に向けて手続きを進めると発表しました。

譲受対象として示されたのは、ナイルワークスが保有する知的財産権やドローンエンジニアなど、新規製品・サービス開発に関するリソースです。一方、既存ドローンの在庫、顧客との契約、運用・保守・サポート業務は、この譲受の対象外と明記されました。

このリリースには、ナイルワークスが譲渡の完了後、2025年9月末以降に解散、清算手続きに入る予定であることも書かれていました。今回の協定認可は、この時点で公表されていた道筋の先にある出来事です。

その後、住友商事とNTTイードローンが2026年2月に発表した資料では、2025年6月に農業用ドローンの開発リソースをNTTイードローンへ譲渡し、開発リソース以外の残存事業も別企業へ譲渡した上で、同年11月付でナイルワークスの解散決議を実施したと説明されています。両社は2026年2月、国産農業用ドローンの普及拡大に向けたマーケティング連携を開始しました。

清算の数字と、開発リソースの行方は分けて見る

ナイルワークスをめぐる主な経緯の年表。2019年3月の第三者割当増資から2026年9月10日の官報掲載まで
  • 2019年3月:総額約16億円の第三者割当増資を発表。累計資金調達額は約24億円
  • 2024年4月:農林水産省が基盤確立事業実施計画を認定(2025年8月に取消し)
  • 2025年5月:開発リソースの譲受で合意。譲渡完了後に解散・清算へ進む予定も公表
  • 2025年6月:農業用ドローンの開発リソースをNTTイードローンへ譲渡
  • 2025年11月:ナイルワークスが解散決議
  • 2026年8月26日:東京地方裁判所が特別清算の協定を認可
  • 2026年9月10日:本紙第1787号に協定認可が掲載

0.373%という数字が示しているのは、今回の協定で定められた債務処理の一部です。一方で、農業用ドローンの開発リソースは、会社の解散に先立って別企業へ譲渡されていました。清算の条件と、開発リソースがどこへ移ったのかを分けて見ると、ナイルワークスをめぐる動きの輪郭がよりはっきりします。

リファレンス

※本記事はAIを活用して作成し、編集部が公的機関の発表などの一次情報にもとづいて事実確認を行っています。詳しくは編集方針・AI利用ポリシーをご覧ください。

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