※追記(2026年8月13日):この記事は法案の審議中に公開したものです。予防接種法の一部を改正する法律は、2026年7月24日に参議院で可決されて成立し、同月31日に令和8年法律第76号として公布されました。以下の本文は、公開時点(2026年7月8日)の内容に、その後の確認をふまえた修正を加えたものです。
政府が第221回国会(特別国会)に提出した64本の法律案のうち、この記事の公開時点(2026年7月8日)でまだ成立していなかったものの1つが「予防接種法の一部を改正する法律案」です。今回はこの法律案の中心となる第2条の変更を、条文に沿ってひらいてみます。
そもそも「予防接種」って法律上どう定義されているの?
予防接種法は、第2条でまず「予防接種」という言葉の意味を定めています。現行の条文では、予防接種とは「疾病に対して免疫の効果を得させるため、疾病の予防に有効であることが確認されているワクチンを、人体に注射し、又は接種すること」とされています。
ポイントは、対象が「ワクチン」に限定されていることです。法律上「予防接種」と呼べるのは、あくまでワクチンを使ったものだけ、という建てつけになっています。
中心になる変更は第2条第1項
今回の改正案では、この第2条第1項にある「ワクチン」という言葉を「特定医薬品」という言葉に置き換えます。そのうえで、「特定医薬品」を新しく次のように定義します。
- 一 ワクチン
- 二 単クローン抗体を有効成分として含有し、かつ、ワクチンと同程度にその効果が長期間にわたる医薬品
つまり「予防接種」に使える医薬品が、これまでの「ワクチンのみ」から、「ワクチン」と「単クローン抗体を有効成分として含み、ワクチンと同程度に効果が長く続く医薬品」の2つに広がる形です。
書き換えは第2条第1項だけではありません。法律案は第3条第2項第5号、第4条第2項第4号、第13条第4項、第23条第3項、第47条第2項と第5項、第53条第1項と第2項の「ワクチン」「ワクチン製造販売業者」も、「特定医薬品」「特定医薬品製造販売業者」に改めます。附則では、新型インフルエンザ等対策特別措置法第31条の2第1項の「ワクチン」も、予防接種法の「特定医薬品」に置き換えます。この記事では、その出発点になる第2条第1項を見ていきます。
なぜ今、この定義を変える必要があるのか
背景にあるのは、単クローン抗体(モノクローナル抗体)を使った医薬品の広がりです。近年、あらかじめ体内に抗体そのものを投与することで、ワクチンと同じように長期間にわたって感染症を予防する薬が実用化されつつあります。
代表例が、乳幼児のRSウイルス感染症(呼吸器の感染症で、特に生後間もない赤ちゃんが重症化しやすいことで知られています)に対する抗体製剤です。RSウイルスの予防や発症の抑制を目的として、すでに薬事承認されているものがあります。ただし現行の予防接種法では「ワクチン」でなければ法律上の予防接種に位置づけられないため、市町村長が実施する定期接種の枠組みでは扱えませんでした。
RSウイルス感染症については、2026年度から、妊婦を対象とする母子免疫ワクチンの定期接種が始まっています。今回の改正案は、それとは別に、生まれたあとの乳児などに投与する抗体製剤も、法律上の予防接種に使えるようにするためのものです。
今回の改正は、こうした抗体製剤を、将来的に定期接種の選択肢に加えられるようにするための土台となる条文の書き換えです。
定期接種に追加されるまでの流れ
ここで注意したいのは、今回の改正案が通っても、それだけで自動的にRSウイルスの抗体製剤が定期接種の対象になるわけではない、という点です。
改正案は「特定医薬品」の範囲を、法律そのもののなかで定めています。ただし、特定のRSウイルスの抗体製剤を定期接種に加えるところまでは定めていません。厚生労働省の資料によれば、改正後に審議会でRSウイルス感染症の抗体製剤の定期接種化を議論し、そこで認められた場合に、必要な政省令の改正を行う流れです。定期接種の対象となる疾病や、使用する医薬品の決定は、これまでも厚生科学審議会での審議を経て行われてきました。
施行日は、公布の日から起算して6か月を超えない範囲内において政令で定める日とされています。
気をつけたいポイント
この法律案は、特定の医薬品を名指しで定期接種に加えるものではなく、あくまで「定期接種に使える医薬品の範囲」を法律上広げるための改正です。RSウイルスの抗体製剤が実際に定期接種の対象になるかどうか、対象年齢や費用負担がどうなるかは、この法律案の中には書かれておらず、今後の審議会での検討や、必要な政省令の改正を待つ必要があります。
改正の中心は、予防接種に使える医薬品の範囲を「ワクチン」から「特定医薬品」へ広げることです。その先にどんな医薬品が定期接種に加わっていくのか、今後の動きを追っていく価値がありそうです。
リファレンス
予防接種法の一部を改正する法律案 概要(厚生労働省)
予防接種法の一部を改正する法律案 案文・理由(厚生労働省)
第221回国会 法律案本文(衆議院)
最近の法律・条約(内閣法制局)
※本記事はAIを活用して作成し、編集部が公的機関の発表などの一次情報にもとづいて事実確認を行っています。詳しくは編集方針・AI利用ポリシーをご覧ください。


