保育士の資格に「地域限定」が加わる 特区だけの仕組みが全国の制度へ

保育士の資格に「地域限定」が加わる 特区だけの仕組みが全国の制度へ あなたの知らない官報

2026年8月5日(令和8年8月5日)の官報に、こども家庭庁の告示が1本載りました。こども家庭庁告示第13号。国が整備しているあるデータベースについて、そこに記録する項目を定めた告示を、一部改正するというものです。

改正された部分だけを並べると、ほとんど同じ言葉の繰り返しに見えます。「保育士登録簿」が「保育士登録簿又は地域限定保育士登録簿」になる。「保育士の登録」が「保育士登録又は地域限定保育士登録」になる。10ある項目のうち8つに、同じ言葉が順番に足されていきます。

足されたほうの「地域限定保育士」は、2025年(令和7年)10月1日に生まれたばかりの資格です。

登録した都道府県でだけ働ける保育士

児童福祉法によると、地域限定保育士とは、登録を行った自治体の管轄する区域内に限って、地域限定保育士の名称を用いて保育の仕事ができる人のことです。区域の外へ出れば、その資格では働けません。

名乗り方にも決まりがあります。業務に関して地域限定保育士の名称を表示するときは、登録を受けた自治体を必ず明示しなければならず、それ以外の区域を表示してはならない、と条文に書かれています。「◯◯県地域限定保育士」とは名乗れても、そこに他県の名を並べることはできない、ということです。

登録する先も、都道府県とは限りません。法律は「認定地方公共団体」という言い方をしていて、都道府県のほか、指定都市も対象になります。

3年たてば、全国の保育士になれる

区域に縛られたままかというと、そうではありません。児童福祉法は、地域限定保育士の登録を受けた日から3年を経過し、かつ内閣府令で定める期間以上その業務に従事した人は、保育士となる資格を有すると定めています。この「内閣府令で定める期間」について、こども家庭庁は法改正の説明資料で1年間の勤務経験とすることを想定していると記しています。

つまり、まずその地域で働き、3年と一定の実務を重ねれば、全国どこでも働ける通常の保育士に移れる。地域限定保育士は、入口を地域に限った保育士資格だと言えます。

もともとは特区だけの仕組みだった

この仕組みは、2015年度(平成27年度)に国家戦略特別区域法の特例として始まったものです。こども家庭庁の資料によると、当時は保育士試験が年1回の実施だったところ、その後2回実施の取り組みが広がり、2017年度(平成29年度)以降はすべての都道府県が年2回実施しています。

一方で、保育人材の不足の度合いには自治体ごとに差があります。特に不足するおそれが大きい地域が集中的に人材確保に取り組めるようにする、というのが今回の一般制度化の理由として資料に挙げられています。

制度を使うには手続きが要ります。都道府県または指定都市が、保育士の確保のための措置を講じてもなおその区域内で保育士が不足するおそれが特に大きいときに、試験の科目や方法、実施回数を記した「試験実施方法書」を作り、内閣総理大臣の認定を受ける。認定を受けて初めて、その自治体は地域限定保育士試験を実施できます。

今回の告示が書き換えた10個の欄

では、8月5日の告示が改正したデータベースとは何でしょうか。

児童福祉法は、児童生徒性暴力等を行ったことにより保育士の登録を取り消された人などについて、その氏名や取消しの事由などを記録したデータベースを、国が整備すると定めています。そして、保育士を任命または雇用しようとする者は、このデータベースを活用するものとする、とも定めています。保育の現場で働く人を採用する側が、必ず参照する仕組みです。

告示は、そのデータベースに記録する事項の中身を定めるものです。今回の改正で、次のような項目に地域限定保育士が加わりました。

  • 登録簿に記載されている氏名(片仮名で振り仮名を付ける)
  • 登録の取消しの事由
  • 登録番号
  • 登録年月日
  • 登録をした都道府県名
  • 登録の取消年月日
  • 取り消した際の氏名が登録簿と異なる場合の、その氏名
  • 登録証に記載されている旧氏

このうち3番目と4番目にあたる項目は、今回は改正されていません。告示の表では「同上」と記されています。

告示の根拠となる条文も、あわせて書き換えられました。改正前は児童福祉法第18条の20の4第1項でしたが、改正後は第18条の36第1項になっています。法改正で保育士に関する規定が大きく組み替えられ、この規定の位置がうしろにずれたためです。告示の題名そのものにも、この条番号が入っています。

区域は限られていても、記録は限られない

ここに、この告示の芯があります。

地域限定保育士は、働ける区域が限られた資格です。しかし、その人の登録が取り消されたという記録は、区域の中にとどめられません。国のデータベースに載り、全国の採用する側が参照します。

条文も、取消しの情報をデータベースに記録する役割を、都道府県知事と、認定地方公共団体である指定都市の長の双方に負わせています。どこで登録された資格であっても、記録はひと続きの線でつながる。今回の告示は、その線を引くための欄を用意した、という位置づけになります。

特区時代の登録も、当面は残る

告示の条文には、もうひとつ読みどころがあります。「国家戦略特別区域限定保育士」という古いほうの名前が、消えずに残っている点です。

改正後の告示は、児童福祉法等の一部を改正する法律(令和7年法律第29号)の附則第15条によって読み替えて適用する場合には、なお効力を有するとされた改正前の児童福祉法にもとづく国家戦略特別区域限定保育士の登録簿も対象になる、という書き方をしています。

特区の制度のもとで登録した人がすでにいる以上、その人たちの登録も引き続き記録の対象でなければなりません。制度が切り替わっても、前の制度で登録した人が残っている間は、両方の名前を条文に書いておく。告示の読みにくさの正体は、この二重構造にあります。

この告示は、2026年8月5日の官報に掲載された日から適用されています。

【コラム】国家戦略特別区域とは

国家戦略特別区域は、区域を限って規制の特例を認め、その効果を見たうえで全国に広げるかどうかを判断する仕組みです。医療、農業、雇用、教育などの分野で、地域を指定して特例が設けられてきました。

地域限定保育士も、その道筋をたどった例のひとつにあたります。特区で試し、10年を経て一般の制度になりました。特区の特例には、そのまま特区限りで終わるものもあれば、今回のように法律本体に書き込まれるものもあります。区域を限った実験が全国のルールに変わるとき、こうして告示の細かな文言まで、ひとつずつ書き換えられていきます。

リファレンス

※本記事はAIを活用して作成し、編集部が公的機関の発表などの一次情報にもとづいて事実確認を行っています。詳しくは編集方針・AI利用ポリシーをご覧ください。

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