アメリカの審査で使う3桁の点数を作る会社 フェア・アイザックは計算元の信用情報を原則保管しません【あなたの知らないS&P500】

あなたの知らないS&P500 第8回 フェア・アイザックのアイキャッチ画像 あなたの知らないS&P500

日本でも2024年11月から、自分の信用の状態を3桁の指数で見られる仕組みが始まりました。指定信用情報機関のCICが提供する「クレジット・ガイダンス」です。これはこれから紹介する会社とは別会社の、別のサービスです。

一方アメリカでは、クレジットカードを作る、車のローンを組む、住宅ローンを申し込むといった場面で、300から850までの3桁の数字が広く使われています。その計算式を作っている会社は、計算のもとになる信用情報を、原則として自社では収集も保管もしていません。

500社のうち8社目は、フェア・アイザック(Fair Isaac Corporation、ティッカー:FICO)です。

COMPANY FILE ── 500分の8社目

社名フェア・アイザック(Fair Isaac Corporation)
ティッカーFICO(ニューヨーク証券取引所)
本社モンタナ州ボーズマン
創業1956年
業種分析ソフトと信用スコア(審査や不正検知に使う点数とソフトの提供)
日本法人あり(Fair Isaac Japan G.K.・年次報告書の子会社一覧に記載)
公式サイトfico.com(英語)
日本語サイト編集部が確認した範囲では見つかりませんでした

何をしている会社か:データで判断を良くするために生まれた会社

フェア・アイザックは、分析ソフトと「FICOスコア」と呼ばれる信用の点数を提供する会社です。年次報告書は、データを賢く使えば事業の判断は良くなるという前提のもと、1956年に創業したと説明しています。

2025年9月期の売上高は19億9087万ドル。決算では、スコア部門とソフトウェア部門の2つに分けて報告されています。スコア部門が11億6858万ドル、ソフトウェア部門が8億2229万ドルで、この2つの合計が全社の売上高と一致します。売上の92%は金融業界向け、87%は南北アメリカ向けです。

代表商品:300から850までの点数と、不正を見つけるソフト

FICOスコアは、1989年にアメリカで導入されました。年次報告書は、これをアメリカにおける消費者の信用リスクを測る標準的な尺度と位置づけ、アメリカの与信判断の大半で使われていると書いています。点数は300から850の範囲です。40か国を超える国で提供されており、10か国以上では特定の取引先向けに専用のモデルも作っています。

もう1つの柱がソフトウェアです。なかでも「ファルコン」という名前の不正検知の仕組みは、1万を超える金融機関が持ち寄った取引データのネットワークをもとに、モデルを改良し続けていると年次報告書は説明しています。カードなどの不正利用を検知する仕組みを、金融機関の裏側で支える会社、と言い換えてもいいかもしれません。

強み:点数は作るが、データは預からない

この会社の仕組みで、説明が少しややこしく、そして面白いのがここです。

年次報告書によれば、FICOスコアの計算に使われる信用情報を、フェア・アイザックは収集も保管もしていません(開発のために個人が特定できない形にしたデータを使う場合を除きます)。信用情報を集めて持っているのは、エクスペリアン、トランスユニオン、エクイファクスというアメリカの3つの信用情報機関です。フェア・アイザックが提供するのは、そのデータに当てはめる計算式のほうです。

お金の流れも独特です。点数を使う側は、1件ごとに信用情報機関へ手数料を払い、信用情報機関がそれに応じた手数料をフェア・アイザックに払う。年次報告書は、大半の場合、貸し手など最終利用者に点数を直接売ってはいないと書いています。

2025年9月期は、この3社との契約から生じた売上が全社の51%を占めました。2024年9月期は45%、2023年9月期は41%です。自分ではデータを持たず、データを持つ3社を通じて点数が使われる。この形のまま、スコア部門の営業費用は同部門の売上の12%にとどまり、営業利益は10億2624万ドルでした。

FICOスコアがフェア・アイザックから3つの信用情報機関を経て銀行やカード会社に届くまでの流れと、手数料が逆向きに戻る仕組みを示した図

日本との関係:2025年3月に富士通と組みました

年次報告書の子会社一覧には、日本で設立された「Fair Isaac Japan G.K.」が載っています。

そして2025年3月19日、富士通とフェア・アイザックがパートナーシップの締結を発表しました。富士通のプレスリリースによれば、第1弾として富士通がFICOの顧客コミュニケーションを最適化するクラウドサービスのライセンス契約を結び、日本の金融業界向けにローカライズして2025年7月から提供するという内容です。債権回収やマーケティングの場面で、相手ごとに連絡の手段とタイミングを判断して自動で実行するサービスだと注釈で説明されています。

一方、冒頭に挙げたCICのクレジット・ガイダンスは、フェア・アイザックとは別の会社の別のサービスです。CICの説明によれば、指数は200から800の範囲で、性別や年齢、年収といった属性は一切使わず、支払状況や残高など客観的な取引事実だけから算出します。算出の理由を示せるようにするため、判断の過程が見えなくなる恐れのあるAIの手法は採用していないとも書かれています。消費者向けの提供は2024年11月28日、クレジット会社向けの提供は2025年4月1日に始まりました。

日本の読者にとって身近な接点は、もう1つあります。S&P500に連動するインデックス投信を積み立てているなら、その投信を通じて、この会社への投資を間接的に含んでいることになります。

アメリカ人にとっては:住宅ローンで何十年もクラシックFICOが使われてきた

アメリカ連邦住宅金融庁(FHFA)は、公式サイトでこう説明しています。ファニーメイとフレディマックに売られる住宅ローンは、何十年ものあいだ、「クラシックFICO」という単一のモデルによる点数を求められてきた、と。

その状況がいま動いています。2018年に成立した法律を受けて、FHFAは2022年に新しい2つのモデル、FICO 10TとVantageScore 4.0を検証・承認しました。そして現在は暫定的な段階として、承認を受けた貸し手がクラシックFICOかVantageScore 4.0のどちらかを選べるようになっています。FICO 10Tについても、両社が過去の点数データを2026年の夏に公表する予定だと書かれています。

消費者の側から見ると、この会社の点数は自分で買うこともできます。年次報告書によれば、myFICO.comという自社サイトで、点数と、その点数に影響している要因の説明、点数の変化の通知などを購入できます。この消費者向けの売上は2025年9月期で2億1998万ドル、スコア部門の19%を占めました。残りの81%は、金融機関などに向けた事業者向けの売上です。

トリビア:30年近く前は、カリフォルニアで機械を組み立てていた

1996年9月期の年次報告書を開くと、まったく違う会社が出てきます。

当時の社名は「Fair, Isaac and Company, Incorporated」。本社はカリフォルニア州サンラファエル、サンフランシスコから北へおよそ15マイルの町でした。売上高は1億4875万ドル、従業員は約1037人。そして同社はこのサンラファエルの拠点で、モトローラのCPUを積んだ審査用システムの組み立てと検査を行っていました。信用の点数を作る会社が、自分たちで機械を組み立てていたのです。

その29年後の姿はこうです。売上高は約13倍の19億9087万ドル。従業員は28か国に3811人で、最も多いのはインドの1506人(40%)、次がアメリカの1335人(35%)です。本社はモンタナ州ボーズマンに移りました。米国勢調査局の推計では、2025年7月1日時点の人口が5万8814人の町です。

雑談で使える一言を1つ。アメリカ人の信用を3桁で表すあの点数を作っている会社は、その計算のもとになる信用情報を、原則として自社では持っていません。

これであなたは、500社のうち8社を知りました。

リファレンス

※本記事はAIを活用して作成し、編集部が公的機関の発表などの一次情報にもとづいて事実確認を行っています。詳しくは編集方針・AI利用ポリシーをご覧ください。

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