動物病院で見かけるIDEXXの5文字 アイデックスラボラトリーズは水道水の検査も手がけています【あなたの知らないS&P500】

動物病院で見かけるIDEXXの5文字 アイデックスラボラトリーズは水道水の検査も手がけています あなたの知らないS&P500

犬や猫を動物病院へ連れて行くと、「では血液を採って調べましょう」と言われることがあります。看護師さんが小さな試験管を持って診察室の奥へ消え、しばらくすると数字がずらりと並んだ結果が出てくる。あの奥に置かれている検査機器に、IDEXXという5文字が入っていることがあります。

読み方はアイデックス。日本ではまず名前を聞かない会社ですが、世界の動物病院ではおなじみです。そしてこの会社は、飲み水の安全を確かめる水質検査の分野でも製品を売っています。

COMPANY FILE ── 500分の7社目

社名アイデックスラボラトリーズ(IDEXX Laboratories, Inc.)
ティッカーIDXX(ナスダック)
本社メイン州ウェストブルック
創業1983年(デラウェア州で法人設立)
業種検査(犬猫・家畜・水の診断と分析)
日本法人あり(アイデックスラボラトリーズ株式会社)
公式サイトidexx.com(英語)
日本語サイトidexx.co.jp

この会社は何をしているのか

アイデックスラボラトリーズ(IDEXX Laboratories, Inc.、ティッカー:IDXX)は、米国メイン州ウェストブルックに本社を置く検査の会社です。年次報告書によれば1983年にデラウェア州で法人として設立されました。上場先はナスダックです。

事業をひとことで言えば「動物と水を調べる」。犬や猫の血液や尿を調べる機器と試薬、牛や鶏や生乳の検査、そして水の中の細菌の検査を手がけています。人間の医療向けの簡易検査も少しだけ持っています。

決算では、事業を3つの部門に分けて報告しています。2025年12月期の売上高は全体で約43億ドル。内訳は、犬猫などのコンパニオンアニマル部門が約39億5328万ドル、水質検査部門が約2億115万ドル、家畜・家禽・生乳部門が約1億3179万ドルでした。このほかに「その他」の区分があり、人間向けの検査事業などが含まれます。売上高は約1748万ドルで、全体の1%に届きません。

数字を見てのとおり、売上高の9割超を、犬や猫を診る動物病院向けの部門が占めています。

動物病院に置いてある機械の会社

代表的な製品は、動物病院の中で結果が出せる検査機器です。血液の成分を測るカタリスト、血球を数えるプロサイト、尿を調べるセディビューといった機械があり、これらをベットラボステーションという装置がつなぎ、それぞれの機器が出した検査情報を1か所に集約します。

これに加えて、SNAPという名前の使い捨ての検査キットがあります。年次報告書によれば、犬猫の病気を短時間で判定できる小さなキットで、動物病院の診察台のわきでそのまま使えます。

院内で調べきれない項目は、同社の検査所へ送ります。米国・欧州・カナダ・オーストラリア・日本・ニュージーランド・南アフリカ・韓国などに約80か所の検査所があり、多くは当日か翌日には結果が返ってくると年次報告書は説明しています。日本語の公式サイトには、80か所以上の拠点が5万を超える動物病院を支えているとあります。

さらに、カルテや予約や会計を動かす動物病院向けのソフトも売っています。機器、試薬、検査所、ソフト。動物病院の一日が、まるごと同社の商圏になっているわけです。

強み:機器を置いて、消耗品で稼ぐ

なぜこの会社が強いのか。年次報告書の用語集に、同社の商売の仕方を示す言葉が載っています。「リエージェント・レンタル」。ほとんど、あるいはまったく代金を取らずに機器を顧客のところに置き、そのかわりに消耗品を長期間買い続けてもらう契約形態のことです。

高価な分析機器を買い切りで売れば、売った瞬間は大きな金額になりますが、次に買い替えるのは何年も先です。かわりに機械を置いてしまえば、そこから毎日、試薬とスライドと検査キットが売れ続けます。プリンターとインクの関係に似ています。違うのは、置かれるのが診断に直結する医療機器で、機器と消耗品を組み合わせて長く使い続ける契約になっている点です。

同社の売上高のうち、製品が25億3921万ドル、サービスが約17億6449万ドルと、年次報告書は分けて記しています。機械を売る会社というより、機械を置いて検査を売る会社です。

アイデックスラボラトリーズの部門別売上高とおもな検査の現場を示した図

日本との関係

日本にはアイデックスラボラトリーズ株式会社という日本法人があり、日本語の公式サイトも動いています。年次報告書の検査所の一覧にも日本が挙がっており、日本の動物病院から送られた検体を国内で処理する体制があることがわかります。

金額でみると、2025年12月期の日本での売上高は約8336万ドルでした。全体の2%ほどで、米国の約27億5279万ドルに比べればごくわずかです。それでも、日本法人と国内の検査所を通じて、動物病院向けの検査サービスがこの国でも提供されています。

もうひとつ、水道水にも接点があります。日本で水道水の大腸菌を調べる方法は、環境大臣が定める告示で「特定酵素基質培地法」と決められています。使ってよい培地は4種類挙げられていて、そのうちのひとつ「MMO-MUG培地」は、ONPGとMUGという2つの物質を含みます。告示が定める試験操作では、培養したあとに波長366nmの紫外線を当て、蛍光が出ているかどうかで大腸菌の有無を判定します。

一方、同社の主力の水質検査キット「コリラート」も、日本語の公式サイトによれば、大腸菌群をONPGで、大腸菌をMUGで見分ける方式です。告示は培地の組成を定めるもので、告示のMMO-MUG培地とコリラートには、ONPGとMUGを使うという共通点があります。

アメリカ人にとっては:蛇口の水を確かめる会社

米国では、動物医療に加えて、水質検査の現場でもこの会社の製品が使われています。

年次報告書によれば、コリラートをはじめとする同社の水質検査製品は、政府の試験所、水道事業者、民間の認定試験所が、米国環境保護庁の基準に沿って飲料水を検査するために使っています。ペットボトル入りの水、プールなどのレジャー用の水、下水、井戸水の検査にも使われます。

製品名を並べると、この会社が何を見張っているかがよくわかります。腸球菌を調べるエンテロラート。プールや浴槽の緑膿菌を調べるプセウダラート。年次報告書はこの菌を「ホットタブ・ラッシュ」や「スイマーズ・イヤー」の原因として説明しています。日本語で言えば、温浴施設で出る発疹と、泳いだあとの外耳炎です。ほかに、クリプトスポリジウムやジアルジアといった寄生虫を捕まえるフィルタマックス、レジオネラ症の主な原因菌を調べるレジオラートもあります。

つまり米国の人にとってこの会社は、犬の腎臓の数値を出す機器の会社であると同時に、市民プールと蛇口の水を確かめる道具を供給している会社でもあるのです。英語の公式サイトには、世界で25億人を超える人が飲む水の安全を保つために同社の検査が使われている、と書かれています。

トリビア

雑談で使える一言:犬の血液検査に使われる機器の会社が、水の大腸菌を調べる検査キットも作っています。飼い主として世話になり、水を飲むときにも世話になっている、という珍しい会社です。

もうひとつ。同社は犬の腎臓病を早く見つけるための指標としてSDMAという物質を使っています。年次報告書の用語集は、これを腎臓の病気を検出する生体指標と説明しています。血液検査の紙にこの3文字が印字されていたら、それは腎臓を早めに見るための項目です。

最後に、規模の話を。従業員は2025年12月末時点で約1万1000人、およそ34か国にいると年次報告書は記しています。公式サイトによれば、利用者は175か国に広がっています。2025年12月期の売上高は約43億ドルです。動物病院の奥の部屋と水道の検査室という、ふだん一般の人が立ち入らない2つの場所で、この会社の名前は毎日読まれています。

これであなたは、500社のうち7社を知りました。

リファレンス

IDEXX Laboratories, Inc. Form 10-K(2025年12月期)
アイデックスラボラトリーズ株式会社について(日本語公式サイト)
About IDEXX(英語公式サイト)
コリラート(日本語公式サイト)
水質基準に関する省令の規定に基づき環境大臣が定める方法(2003年・平成15年厚生労働省告示第261号)

※本記事はAIを活用して作成し、編集部が公的機関の発表などの一次情報にもとづいて事実確認を行っています。詳しくは編集方針・AI利用ポリシーをご覧ください。

タイトルとURLをコピーしました