全損車はどこへ行く? 世界281拠点のコパート【あなたの知らないS&P500】

保険会社が全損とした車はどこへ行くのか コパート 500分の15社目 あなたの知らないS&P500

アメリカで車が事故に遭うと、保険会社の調査員が修理代を見積もります。10-Kが説明する典型例では、調査員は修理代、事故に遭う前の車の値打ち、売ったときに見込める価値などを見て、直して返すか全損として処理するかを決めます。修理代が、事故前の値打ちから見込みの売却価値を引いた額を上回ると、多くの場合は全損として扱われます。では、その車はどこへ行くのでしょうか。行き先の1つが、コパート(Copart, Inc.、ティッカー:CPRT)です。2025年7月期にこの会社が扱った車のうち、81%は保険会社から来たものでした。

COMPANY FILE ── 500分の15社目

社名コパート(Copart, Inc.)
ティッカーCPRT(ナスダック)
本社テキサス州ダラス
創業1982年にカリフォルニア州で法人設立(1994年に株式を公開し、2012年1月にデラウェア州で再法人化)
業種車のオンライン競売と、引き取りから名義の手続きまでの周辺サービス
日本法人2025年7月期の子会社一覧の設立法域に日本の記載なし
公式サイトcopart.com(英語)
日本語サイト今回確認できず

直せない車を預かって、売る会社

コパートは、車をインターネットで競売にかける会社です。年次報告書(Form 10-K)では、自社を「オンライン競売と車両リマーケティングのサービスを世界で提供する主要な事業者」と説明しています。リマーケティングというのは、いったん持ち主の手を離れた車を、次の買い手へ橋渡しする仕事のことです。

売り手の中心は保険会社ですが、それだけではありません。ディーラー、個人、慈善団体、レンタカー会社、銀行、金融会社、多くの車を保有する事業者も売り手に含まれると、10-Kは書いています。保険会社から預かる車の多くは、事故で全損と判断された車、修理が採算に合わないとされた車、盗まれたあとに見つかり、持ち主への保険金の支払いがすでに済んでいる車です。

買うのは、解体業者、修理して売り直す業者、修理の免許を持つ事業者、中古車販売店、輸出業者、それに一般の人です。このうち台数がいちばん多いのは解体業者だと考えている、と10-Kは述べています。解体業者は車をばらして部品を1点ずつ売るか、車をまるごと別の業者に売ります。事故などで傷んだ車が、部品になって別の車の修理に使われる。その入口にこの会社がいます。

全損と判断された車が、コパートの引き取り・保管・名義処理・ネット競売を経て買い手に渡るまでの流れを示した図

運ぶ、写真を撮る、名義を片づける

この会社の仕事は、競売の場を用意することだけではありません。10-Kが挙げるサービスは、車の引き取りと輸送、拠点での保管、写真の撮影、そして名義(タイトル)の手続きです。

手間がかかるのは名義です。10-Kによれば、アメリカでは全損になった車は、多くの州で、州の車両登録機関からサルベージタイトルと呼ばれる書類を得たあとでなければ売れません。車両登録機関から必要な書類が届くまでには、車を引き取ってからおおむね45日から60日かかると説明されています。その間、車はコパートの拠点で預かられます。

料金は、出品料、落札料、輸送料、名義の処理料、保管料、入札料、積み込み料といった形で、売り手と買い手の双方から受け取ります。2025年7月期の売上高の約46億4696万ドルのうち、約39億6866万ドルはこうした手数料の収入(サービス収入)です。

残りの約6億7830万ドルは、自社で買い取った車を売った分の販売額です。英国、ドイツ、スペインでは自社の勘定で車を買って売る取引もあると10-Kは説明しています。

買い手が会場に行かなくてよい競売

この会社の競売は、買い手が会場に足を運ばなくても参加できる形です。VB3と呼ぶ自社のオンライン競売の仕組みで、ほぼすべての車を売っています。入札は2段階です。まず下見の期間に、買い手が「ここまでなら出す」という上限額を入れておきます。BID4Uという機能が、その上限までを本人に代わって少しずつ競り上げます。次に、時間を決めたネット上の本番の競りが始まり、入札が止まるとカウントダウンが始まって、その間に新しい入札がなければ最高額の人に落ちます。

会場に足を運ばなくてよいということは、遠くの人でも買えるということです。10-Kによれば、2025年7月期にアメリカで売れた車の69.8%は、車が置かれている州の外に登録した会員が落札しました。内訳は、アメリカ国内の他州の会員が31.0%、国外の会員が38.8%です。この割合は、競売のときに使われたIPアドレスをもとに集計したものだと注記されています。

買い手を1か所に集めないことで、実地の競売を開くのに伴う費用と資本の負担をなくせる、というのがコパートの説明です。もっとも、車そのものは現物ですから、置く場所は要ります。拠点は世界で281か所。アメリカではすべての州に自社所有または賃借の施設があり、ほかに英国22か所、ブラジル23か所、ドイツ9か所などが挙げられています。従業員は2025年7月31日時点で約1万1600人です。

日本との関係

10-Kが事業を行っている国として挙げているのは、アメリカ、英国、ドイツ、ブラジル、カナダ、アラブ首長国連邦、スペイン、フィンランド、オマーン、アイルランド、バーレーンです。子会社一覧(Exhibit 21.1)の設立法域の欄にも、日本の記載はありませんでした。日本語のサイトについては、編集部の作業環境から公式サイトの中身を取得できなかったため、今回は確認できていません。

身近な接点は、もう1つあります。S&P500に連動するインデックス投信を積み立てているなら、その投信を通じて、この会社への投資を間接的に含んでいることになります。

アメリカ人にとっては:冬とハリケーンの会社

この会社が扱う台数は、天候の影響を受けます。10-Kは、冬は悪天候で事故が増えるため、多くの拠点で他の季節より5%から20%多い台数を扱うと書いています。竜巻、洪水、ハリケーン、雹も台数を左右する、とも記されています。

大きな災害のあとには、その役割がはっきり見えます。10-Kは、2024年秋のハリケーン・ヘリーンとミルトンのあと、南フロリダで数万台の冠水した車を引き取り、保管し、売るために、人を動かし多くの業者と組んだと説明しています。

2025年7月期には、この2つのハリケーンに関連する一時的な費用として5600万ドルを計上しました。運送の外注、残業代、警備の強化、出張と宿泊の費用です。

災害で水に浸かった車は、そのまま街に放置しておくわけにいきません。誰かが引き取り、置き場に集め、書類を片づけて、次の行き先を決める必要があります。アメリカのすべての州に拠点を持つこの会社は、その受け皿の1つになっています。

トリビア

  • アメリカでは冬の悪天候で事故が増えるため、この会社の多くの拠点は、他の季節より5%から20%多い台数を扱います。天候が取扱台数の話につながる会社です
  • 1996年7月期の年次報告書によれば、この会社が1年に扱った車は、1990年7月期の約1万7200台から、1996年7月期には39万1100台になりました。同じ資料は、1990年7月期に北カリフォルニアの4か所だった競売拠点が、1995年7月期には20州の42か所になったとも書いています
  • 1996年当時の本社はカリフォルニア州ベニシアにありました。現在の本社はテキサス州ダラスです
  • 株式がナスダックで取引されるようになったのは1994年3月17日です
  • 扱うのは車だけではありません。2023年10月6日に、建設機械などをオンラインで競売にかけるパープル・ウェーブ(Purple Wave)の株式の80%を取得しています

これであなたは、500社のうち15社を知りました。

リファレンス

※本記事はAIを活用して作成し、編集部が公的機関の発表などの一次情報にもとづいて事実確認を行っています。詳しくは編集方針・AI利用ポリシーをご覧ください。

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