スーパーのドレッシング売り場に、細長いボトルが並んでいます。マコーミック。スパイスの棚にも、同じ名前の小瓶が並んでいます。日本の売り場で見かける名前ですが、これがアメリカの上場企業の名前でもあることは、あまり知られていないかもしれません。
マコーミック(McCormick & Company, Incorporated、ティッカー:MKC)は、S&P500に採用されている食品会社です。2025年11月期の売上高は68億4030万ドル。家庭向けのブランドは、世界の約150か国・地域の消費者に届いています。そして日本では、この会社と1967年に手を組んだのが、歯磨きの会社であるライオン歯磨でした。
何をしている会社か:料理ではなく「味」のほうを売る
年次報告書(Form 10-K)で、マコーミックは自社を「風味(フレーバー)の世界的なリーダー」と説明しています。作っているのは、ハーブ、スパイス、シーズニングミックス、調味料といった、料理を仕上げる側の商品です。完成した料理そのものより、料理や食品に味を加える商品を売っている会社、と考えると輪郭がつかめます。
決算では、2つの部門に分けて報告されています。1つは、スーパーや量販店を通じて家庭に届くコンシューマー部門。もう1つは、食品メーカーや外食チェーンに味を供給するフレーバー・ソリューションズ部門です。2025年11月期の売上高は、前者が39億5030万ドル、後者が28億9000万ドルで、この2つを足すと全社の売上高と一致します。なお、本社機能にあたる「コーポレートその他」の資産は6億8880万ドルと開示されています。
代表商品:家庭向けブランドと、食品メーカー・外食向けの味づくり
家庭向けでは、マコーミックのほかにフレンチズ(マスタード)、フランクス・レッドホット(辛味調味料)、ロウリーズ、チョルーラ、オールドベイなどのブランドを持っています。ヨーロッパではデュコロやシュワルツ、アジア太平洋では大橋(DaQiao)といった、地域ごとの名前も抱えています。
もう一方は、食品メーカーや外食向けに味の材料や商品を供給する部門です。取引先の商品に使う配合を引き受ける仕事が中心ですが、外食向けにはブランドのついた包装商品も供給していて、2025年11月期の売上高でいえば6億1410万ドルがこの区分にあたります。
強み:何十年も続く取引先との関係
この会社の事業の特徴を見る手がかりの1つが、取引先の顔ぶれです。
2025年11月期、小売のウォルマートへの売上が全社売上高の約12%、食品・飲料のペプシコへの売上が約12%を占めました。フレーバー・ソリューションズ部門では、上位3社で同部門の売上の49%です。特定の取引先への売上比率が大きいことが読み取れます。
そのうえで、年次報告書はフレーバー・ソリューションズ部門について、顧客との関係の多くが何十年も続いていると説明しています。味づくりを担う相手との関係が長く続く背景には、製品の味を保ちたいという事情もあるのかもしれません。ここは年次報告書に理由が書かれているわけではなく、編集部の見立てです。
日本との関係:歯磨きの会社から、中華調味料の会社へ
日本での歩みは、少し変わっています。
日本のマコーミックブランドの公式サイト(運営はユウキ食品、年表の資料提供はライオン株式会社)によれば、ライオン歯磨株式会社(現在のライオン株式会社)がマコーミックと提携を始めたのは1967年です。和食向けのスパイスの消費が頭打ちになる一方、食事の洋風化で西洋のスパイスの需要が伸びていた時期にあたる、と同サイトは説明しています。
1971年にはフレンチドレッシングが発売されました。当時のテレビCMは、女性タレントがボトルを振りながら、分離していても新鮮だと語る内容だったと同サイトは記しています。日本でドレッシングが市場に現れ始めたのが1958年ごろとされているので、まだ商品カテゴリー自体が新しかったころの話です。
そして2007年、業務提携の相手がライオンからユウキ食品に移りました。中華・エスニックの調味料を得意とする会社です。歯磨きの会社から中華調味料の会社へ、というバトンの渡り方です。

アメリカ人にとっては:汽船会社の名前が、海産物用の調味料の名前になった
アメリカでのマコーミックを語るとき、外せないブランドの1つがオールドベイです。
同社の公式サイトに載る年表によると、この調味料はチェサピーク湾の一帯で、香辛料商のグスタフ・ブルンが1939年から1940年にかけて生み出しました。当初の名前は「デリシャス・ブランド シュリンプ・アンド・クラブ・シーズニング」。エビとカニ用の調味料、という、そのままの名前です。
1945年、ブルンはこれを「オールドベイ シーフード・シーズニング」に改めます。名前の由来は、ボルチモアの汽船会社オールドベイ・ラインでした。船会社の名前が、そのまま海産物用の調味料の名前になったわけです。
マコーミックがこのブランドを取得したのは1990年。同じ年表では、その後2022年に英国、2023年にオーストラリアでも発売されたことが記されています。チェサピーク湾の一帯で生まれた調味料が、80年余りを経て別の大陸の棚にも並び始めた、という順番になります。
トリビア:株式が2種類あります
雑談で使える話を1つ。マコーミックの株式は、ニューヨーク証券取引所に2種類が上場しています。議決権のある普通株がMKC.V、議決権のない普通株がMKCです。
2025年12月31日時点で、議決権のある株は1485万1729株、議決権のない株は2億5358万6510株。株数でいえば、議決権のない側が圧倒的に多い会社です。S&P500に連動するETFであるSPDR S&P500 ETFの保有銘柄一覧(2026年7月31日時点)でも、この会社は無議決権株として記載されています。
もう1つ。公式の年表には、大恐慌のさなかの1933年の項があります。賃上げと労働時間の短縮、利益分配の開始、「マルチプル・マネジメント・ボード」の発足。そしてC・P・マコーミックが、感謝祭に七面鳥を配る習慣と「オープンドア・ポリシー」を始めた、と書かれています。大恐慌のさなかに、待遇を良くするほうへ舵を切った記録が、いまも会社の年表の1項目として残っています。
S&P500に連動するインデックス投信を積み立てているなら、その投信を通じて、この会社への投資を間接的に含んでいることになります。台所の棚にある名前と、積立の中身が、こんなところでつながっています。
これであなたは、500社のうち11社を知りました。
リファレンス
- McCormick & Company, Incorporated Form 10-K(2025年11月期):売上高・部門別の内訳・取引先比率・株式の種類・本社所在地
- 同 Exhibit 21(子会社一覧):日本法人の記載の有無
- McCormick & Company 公式サイト Company:1889年の創業と1933年の年表
- McCormick Australia OLD BAY History:オールドベイの沿革
- マコーミック公式サイト(ユウキ食品)日本でのマコーミック:日本での提携の経緯
※本記事はAIを活用して作成し、編集部が公的機関の発表などの一次情報にもとづいて事実確認を行っています。詳しくは編集方針・AI利用ポリシーをご覧ください。


