横浜市営バス240円はいつから 2027年1月見込みと「上限認可制」の仕組み

あなたの知らない官報

横浜市営バスの運賃が、いまの220円から240円に上がります。実施は2027年1月頃の見込みです。ただし、これはまだ確定した話ではありません。国の審査がいま進んでいる最中です。

この記事でわかること

  • いくら:大人の均一運賃が220円から240円へ
  • いつから:2027年1月頃を予定(国の認可次第で変わる可能性あり)
  • いまどこ:2026年6月26日に横浜市が国へ申請し、7月23日から国の運輸審議会が審議中
  • 子どもは:現金は110円から120円へ。ICカードは110円から100円へ値下げ
  • 定期券は:通学定期は据え置きの方針

この手続きの節目が、2026年7月23日の官報(第1753号)に載りました。運輸審議会の件名表に登載された事案番号「令8第5001号」です。ところが、そこに書かれた金額は240円ではありません。

「横浜市が、現行220円均一制運賃を270円均一制運賃に変更する」。国に正式に申請された数字は、270円でした。

この「270円」と「240円」の違いにこそ、バスの運賃がどうやって決まるのかという仕組みが隠れています。

官報に載った「270円」は利用者が払う金額ではない

路線バスの運賃は、道路運送法に基づく「上限認可制」という仕組みで決まります。名前のとおり、国が認可するのは運賃そのものではなく、運賃の「天井」です。

バス事業者はまず、運行に必要なコスト(人件費、燃料費、車両の維持費など)を積み上げた「総括原価」を計算します。横浜市の資料によれば、乗合バスの運賃は、事業に必要な費用に対して不足する収入を賄う額を上限として認可される仕組みです。事業者はその認可された上限額の範囲内で、実際の改定額を決めます。

横浜市交通局の三村庄一局長は2026年5月の市会本会議で、270円という数字は「バス事業の運営に必要な総括原価を推計し、不足する収入額を補うのに必要な運賃」だと説明しています。

そのうえで横浜市は、利用者の負担に配慮し、上限270円のうち実際に徴収する「実施運賃」を240円に抑える方針です。つまり、官報に載った270円は制度上の天井であり、実際に乗客が支払うのは240円ということになります。

言い換えれば、将来的に経営がさらに厳しくなった場合、条例改正や再度の認可申請をしなくても、270円の範囲内であれば値上げができる状態になるということでもあります。

「ヤードスティック方式」で運賃の天井が決まる

上限運賃の審査には「ヤードスティック方式」と呼ばれる手法が使われます。ヤードスティックとは物差しのことです。個別のバス事業者のコストをそのまま運賃に反映させるのではなく、同じ地域ブロック内の複数事業者のコストを比較して「標準原価」という物差しを作り、それに照らして査定します。

横浜市営バスが属する「京浜ブロック」には、東京23区、三鷹市、武蔵野市、調布市、狛江市、横浜市、川崎市が含まれます。このブロック内の事業者の標準的なコストと申請事業者の数値を突き合わせて査定するため、経営効率の悪い事業者が高い運賃を設定することに対する抑止力が働きます。

30年ぶりの値上げ 取り残されていた市営バス

横浜市営バスの運賃が実質的に上がるのは、約30年ぶりのことです。

市会委員会に提出された資料によると、普通運賃は1992年(平成4年)4月に200円となり、1997年(平成9年)9月に210円へ改定されました。その後は2014年(平成26年)4月と2019年(令和元年)10月に消費税率の改定に伴う転嫁があり、現在の220円になっています。同資料は、消費税率改定に伴うものを除いた直近の改定を1997年9月1日と明記しています。運賃そのものの引き上げは、そこから据え置かれてきたことになります。

この間、横浜市内を走る民間バスは次々と運賃改定を行っています。同じ資料に載っている一覧を整理すると、次のようになります。

事業者改定日改定後の実施運賃改定後の上限運賃
相鉄2025年3月15日240円240円
京急2025年3月18日240円250円
川崎鶴見臨港2025年3月18日240円250円
東急2025年10月1日現金250円・IC240円250円
神奈中2026年4月4日(予定)240円270円
横浜市会委員会資料(2026年3月11日・交通局)をもとに作成

注目したいのは、実施運賃が横並びの240円でも、上限運賃は240円から270円までばらついている点です。上限に余裕がある事業者ほど、次の値上げを機動的に行える余地が大きいことになります。横浜市が申請した270円は、この表のなかでは神奈中と同じ水準にあたります。

同じ地域を走るバスのなかで、市営バスだけが220円で取り残された状態が続いていたことになります。

運賃を上げても厳しい経営

国土交通省の発表によると、今回の申請の平均改定率は15.75%です。対象は横浜市が運行する全路線とされています。市会委員会の資料では、運賃改定幅として10〜15%程度の値上げを想定すると説明されていました。

それでも、値上げで経営が楽になるわけではありません。

市営バスを運営する自動車事業会計は、資金不足比率(営業収益に対する資金不足額の割合)が公営企業の経営健全化基準である20%を超えると、経営改善計画の策定を求められる「経営健全化団体」になります。2026年度(令和8年度)予算案に基づく市の見通しでは、累積資金残は2028年度(令和10年度)にマイナス33億円、2032年度(令和14年度)にはマイナス224億円まで膨らむとされています。市は敬老特別乗車証(敬老パス)の負担金単価を見直しましたが、資料は、経営健全化団体となる年度は1年後ろ倒しになるものの、累積資金不足額の改善幅は限定的だとしています。

バス事業は人件費が経費全体の約6割を占める労働集約型の産業です。乗務員の確保のための処遇改善(2023年度のベースアップは平均6.65%、2024年度は7.72%)や軽油価格の高騰が重なり、運賃据え置きのまま事業を続けることが限界に達したという背景があります。

小児ICカードは100円に値下げ

運賃改定の全体像を見ると、値上げ一辺倒というわけでもありません。

小児運賃は現金利用の場合は110円から120円に引き上げられますが、ICカード利用の場合は110円から100円に値下げされます。横浜市交通局は「子どもの頃からICカードに親しんでいただくとともに、普及促進が期待できる」と説明しています。カードの残額が把握しやすいキリの良い金額を設定した、子育て世代への配慮策でもあります。

また、通学定期券は据え置きの方針です。

値上げはいつから 手続きはいまどこまで進んだか

市会で条例が通れば、すぐに運賃が変わるわけではありません。ここから国の手続きが始まります。これまでの流れを整理すると、次のようになります。

  • 2026年6月26日:横浜市が国土交通大臣宛てに上限変更認可申請を提出
  • 2026年7月23日:国土交通大臣からの諮問を受け、運輸審議会が審議を開始(官報第1753号の件名表に登載)
  • この先:運輸審議会の答申を経て認可へ。認可後に実施運賃の届出
  • 2027年1月頃:運賃改定を予定

横浜市交通局は6月26日の記者発表で、国の認可が得られれば実施運賃を現行の市内均一220円から240円へ改定するとしたうえで、運賃改定は2027年1月頃を予定しているものの、国土交通省の認可に基づくため変更となる可能性があると説明しています。認可時には改めて記者発表で知らせるとしています。

なお、運輸審議会は今回の事案について、利害関係人からの公聴会開催の申請を2026年8月6日17時必着で受け付けていました。利用者であっても、審議会が特に重大な利害関係を有すると認めた場合は利害関係人にあたるとされています。

【コラム】運輸審議会とは何をしているのか

官報に「運輸審議会一般規則第15条第1項の規定により、次のとおり運輸審議会件名表に登載された」と書かれていましたが、この運輸審議会とは何でしょうか。

運輸審議会は国土交通省に設置された合議制の機関で、運輸に関する重要事項を審議する役割を担っています。バスの上限運賃の認可にあたっては、この審議会への諮問が行われます。

「件名表に登載」とは、申請が正式に審議の対象として受理されたことを意味します。ここから実際の審査・認可に至るまでには数か月を要します。横浜市の資料によれば、市営バスは国土交通大臣に認可を申請した後、運輸審議会に加えて消費者庁との協議、関係閣僚会議への付議などが必要になる見込みとされています。

リファレンス

2026年7月23日 官報 第1753号(内閣府)
横浜市からの一般乗合旅客自動車運送事業(乗合バス)の上限運賃変更認可申請事案について審議を開始しました(国土交通省・2026年7月23日)
横浜市営バスの運賃改定にかかる上限変更認可申請について(横浜市交通局・2026年6月26日記者発表)
市営バスの経営改善について(横浜市交通局・下水道河川・水道・交通委員会・2026年3月11日)
路線バスの基礎知識(横浜市)

※本記事はAIを活用して作成し、編集部が公的機関の発表などの一次情報にもとづいて事実確認を行っています。詳しくは編集方針・AI利用ポリシーをご覧ください。

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