220円から240円へ 横浜市営バス30年ぶり値上げと「上限認可制」の仕組み

横浜市営バス 220円から240円へ 30年ぶり値上げの仕組み アイキャッチ画像 あなたの知らない官報

2026年7月23日の官報(第1753号)に、ある運賃変更の申請が掲載されました。

運輸審議会の件名表に登載された事案番号「令8第5001号」。内容は「横浜市が、現行220円均一制運賃を270円均一制運賃に変更する」というものです。

ここで「270円?」と首をかしげた方もいるかもしれません。横浜市が発表している値上げ後の運賃は240円のはずです。実は、この「270円」と「240円」の違いにこそ、バスの運賃がどうやって決まるのかという仕組みが隠れています。

官報に載った「270円」は利用者が払う金額ではない

路線バスの運賃は、道路運送法に基づく「上限認可制」という仕組みで決まります。

バス事業者はまず、運行に必要なコスト(人件費、燃料費、車両の維持費など)を積み上げた「総括原価」をもとに上限運賃を算出し、国土交通大臣の認可を受けます。横浜市交通局の三村庄一局長は2026年5月の市会本会議で、270円という数字は「バス事業の運営に必要な総括原価を推計し、不足する収入額を補うのに必要な運賃」だと説明しています。

この認可された上限の範囲内で、事業者は届出だけで「実施運賃」を設定できます。横浜市は利用者の負担に配慮し、上限270円のうち実施運賃を240円に抑える方針です。つまり、官報に載った270円は制度上の天井であり、実際に乗客が支払うのは240円ということになります。

将来的に経営がさらに厳しくなった場合は、条例改正や再度の認可申請をしなくても、270円の範囲内であれば値上げが可能になる仕組みです。

「ヤードスティック方式」で運賃の天井が決まる

上限運賃の審査には「ヤードスティック方式」と呼ばれる手法が使われます。これは、個別のバス事業者のコストをそのまま運賃に反映させるのではなく、同じ地域ブロック内の複数事業者のコストを比較して「標準原価」を算出する方式です。

横浜市営バスが属する「京浜ブロック」には、東京23区、三鷹市、武蔵野市、調布市、狛江市、横浜市、川崎市が含まれます。このブロック内の事業者の標準的なコストと申請事業者の数値を突き合わせて査定するため、経営効率の悪い事業者が高い運賃を設定することに対する抑止力が働きます。

30年ぶりの値上げ 取り残されていた市営バス

横浜市営バスの運賃が実質的に上がるのは、1997年(平成9年)9月に200円から210円に改定して以来、約30年ぶりのことです。その後は2014年と2019年に消費税率の改定に伴う転嫁がありましたが、運賃そのものの引き上げはずっと据え置いてきました。

この間、横浜市内を走る民間バスは次々と運賃改定を行っています。京急バスと相鉄バスは2025年3月に240円へ、東急バスは2025年10月にICカード240円(現金250円)へ、神奈川中央交通は2026年4月に均一区間240円へと改定しました。いずれも上限運賃270円の認可を受けたうえで、実施運賃を240円に設定しています。

同じ地域を走るバスの中で、市営バスだけが220円で取り残された状態が続いていたことになります。

運賃を上げても厳しい経営

横浜市交通局によると、今回の値上げで年間約110,000,000円の増収効果を見込んでいます。しかし市会委員会の資料では、値上げ後も市営バスの経営は依然として厳しく、抜本的な改善は見込めないとされています。

市営バスは毎年約300,000,000円規模の一般会計繰入金を受けています。2026年度の予算案策定段階では、2028年度に資金不足が深刻化し、地方自治体の経営改善計画の策定が求められる「経営健全化団体」に転落する見通しでした。今回の値上げと敬老特別乗車証(敬老パス)の負担金単価見直しにより、その時期は2年ほど先送りされる見込みですが、根本的な構造は変わりません。

バス事業は人件費が経費全体の約6割を占める労働集約型の産業です。乗務員の確保のための処遇改善(2023年度のベースアップは平均6.65%、2024年度は7.72%)や軽油価格の高騰が重なり、運賃据え置きのまま事業を続けることが限界に達したという背景があります。

小児ICカードは100円に値下げ

運賃改定の全体像を見ると、値上げ一辺倒というわけでもありません。

小児運賃は現金利用の場合は110円から120円に引き上げられますが、ICカード利用の場合は110円から100円に値下げされます。横浜市交通局は「子どもの頃からICカードに親しんでいただくとともに、普及促進が期待できる」と説明しています。カードの残額が把握しやすいキリの良い金額を設定した子育て世代への配慮策でもあります。

また、通学定期券は据え置きの方針です。

国土交通大臣の認可が得られれば、運賃改定は2027年1月頃に実施される予定です。

【コラム】運輸審議会とは何をしているのか

官報に「運輸審議会一般規則第15条第1項の規定により、次のとおり運輸審議会件名表に登載された」と書かれていましたが、この運輸審議会とは何でしょうか。

運輸審議会は国土交通省に設置された合議制の機関で、運輸に関する重要事項を審議する役割を担っています。道路運送法第88条の2により、バスの上限運賃の認可にあたっては運輸審議会への諮問が義務づけられています。

「件名表に登載」とは、申請が正式に審議の対象として受理されたことを意味します。ここから実際の審査・認可に至るまでには数か月を要します。横浜市営バスの場合、2026年6月26日に認可申請を行い、7月23日に件名表に登載されたという流れです。

なお、保有車両数が400両以上(大手に相当)の事業者の場合は消費者庁との協議も必要になります。

リファレンス

2026年7月23日 官報 第1753号(内閣府)
横浜市営バスの運賃改定にかかる上限変更認可申請について(横浜市交通局・2026年6月26日記者発表)
路線バスの基礎知識(横浜市)

※本記事はAIを活用して作成し、編集部が公的機関の発表などの一次情報にもとづいて事実確認を行っています。詳しくは編集方針・AI利用ポリシーをご覧ください。

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