2026年7月24日の官報(第1754号)に、防衛省令第18号が掲載されました。自衛隊法施行規則の一部を改正する省令です。
改正されたのは第65条の14。「防衛大臣への事後の再就職の届出を要しない報酬額」を定める条文です。自衛隊を退職した人が営利企業以外の団体(公益法人やNPOなど)で働く場合、年間の報酬が一定額以下であれば防衛大臣への届出が不要になります。今回、その「一定額」の決め方が大きく変わりました。
改正前 税法の条文を2本またいで計算していた
改正前の条文は、届出不要となる金額を「所得税法第28条第3項第1号に規定する給与所得控除額に相当する金額と租税特別措置法第41条の16の2第1項第1号イに掲げる場合における同項の規定による基礎控除の額に相当する金額の合計額」と定めていました。
わかりにくい表現ですが、要するに「給与所得控除の最低額」と「基礎控除の特例額」を足した金額がラインだったのです。これは所得税の仕組みで「この金額以下の給与収入なら所得税がかからない」とされる非課税の目安に合わせた設計でした。税法側で非課税ラインが変われば、届出の基準も自動的に変わる仕組みです。
改正後 「160万円」に固定
改正後の条文は、同じ箇所をたった4文字で置き換えました。「百六十万円」です。
施行日は2026年10月1日。この日以降、自衛隊OBが営利企業以外の団体で年間160万円以下の報酬を受け取る場合には、防衛大臣への届出は不要となります。
なぜ今、固定化が必要になったのか
改正の背景を読み解くヒントは、改正前の条文に残されています。条文には「令和九年以後の各年分にあつては」という条件分岐が含まれていました。これは、2025年度(令和7年度)の税制改正で新設された租税特別措置法第41条の16の2(基礎控除等の特例)の影響です。
この特例は、いわゆる「103万円の壁」見直しの一環として、合計所得金額に応じて基礎控除に上乗せ加算を行う仕組みです。国税庁の資料によると、加算額は37万円、30万円、10万円、5万円と所得区分ごとに異なります。しかも2025年分(令和7年分)と2026年分(令和8年分)以降でさらに金額が変わり、2027年分(令和9年分)以降にも追加の見直しが予定されています。
つまり、従来の「税法参照方式」のままでは、税制改正のたびに自衛隊OBの届出基準額が変動し、しかもその金額は複数の条文を読み合わせないと算出できない状態が続くことになります。今回の改正は、この不安定さを解消するために基準額を「160万円」に固定したものと読めます。
防衛大臣は小泉進次郎。根拠法令は自衛隊法施行令第87条の30第4号です。
【コラム】自衛隊OBの「再就職等規制」とは
自衛隊には2015年(平成27年)10月から、一般職の国家公務員と同様の再就職等規制が導入されています。防衛省のパンフレットによると、規制の柱は大きく3つあります。
1つ目は、現職の自衛隊員が利害関係のある企業に対して再就職の働きかけをする「あっせん行為」の禁止。2つ目は、在職中に利害関係企業等への求職活動を行うことの制限。3つ目は、退職後に元の職場の隊員に対して契約等に関する働きかけを行うことの禁止(離職後2年間)です。
今回改正された「事後届出」の報酬基準は、このうち退職後の就職状況を防衛大臣が把握するための仕組みに関するもの。営利企業に再就職する場合と、営利企業以外の団体で働く場合とで届出のルールが異なり、後者について「少額の報酬であれば届出不要」とする閾値を定めたのが第65条の14です。
リファレンス
令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について(国税庁)
※本記事はAIを活用して作成し、編集部が公的機関の発表などの一次情報にもとづいて事実確認を行っています。詳しくは編集方針・AI利用ポリシーをご覧ください。


