大臣というと、国会議員としての歳費とは別に、もっと高い「大臣給与」を受け取っているというイメージを持つ人は多いのではないでしょうか。公的な資料を確認すると、実態はやや違います。今の内閣総理大臣・国務大臣は、法律上、行政庁からの給与を受け取っていません。受け取っているのは、国会議員としての歳費だけです。
この記事では、その仕組みを整理したうえで、「仮に全閣僚が1時間、閣議に顔をそろえたとしたら、歳費換算でいくらになるか」を試算してみます。
大臣の「給与」は、実は支給されていない
大臣の給与は、特別職の職員の給与に関する法律という法律で定められています。この法律の規定どおりであれば、内閣総理大臣は月額203万円台、国務大臣は月額148万円台の給与を受け取れる計算になります。
しかし、内閣官房が公表している最新の給与資料には、次のような注記があります。内閣総理大臣・国務大臣・内閣官房副長官などが国会議員の職を兼ねる場合、当分の間、行政庁から支給される給与は支給しないことになっているため、この資料の一覧表には金額を掲載していない、という内容です。
国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律にも、議員で国の公務員を兼ねる者は、議員の歳費を受けるが、公務員の給料は受けない、という原則があります。今の制度では、この原則がそのまま働いている形になります。
つまり、閣議に集まっている大臣たちは、「大臣としての特別な給与」を上乗せでもらっているわけではなく、国会議員としての歳費だけを受け取っている、というのが現在の実態です。
今の内閣の顔ぶれと歳費の金額
2026年2月18日に発足した第2次高市内閣は、内閣総理大臣を含めて19人で構成されています。全員が衆議院議員または参議院議員のいずれかです。
国会議員の歳費月額は、国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律で129万4,000円と定められています。これに、年2回支給される期末手当(ボーナスにあたるもの)が加わります。期末手当は2025年12月、国会で改正歳費法が成立し、現行の水準(年間約638万円)に据え置くことが決まりました。
この2つを単純に足すと、大臣1人あたりの年間の歳費・期末手当は、次のような計算になります。
- 歳費:129万4,000円 × 12か月 = 1,552万8,000円
- 期末手当:年間約638万円
- 合計:年間約2,190万8,000円(試算)
「もし1時間、全員が顔をそろえたら」を計算してみる
ここからが本題です。「閣議に1時間かかったとして、歳費換算でいくらになるか」を試算します。
大前提として、歳費や期末手当は、働いた時間の長さに応じて支払われるものではありません。国会議員という地位にあること自体に対して、定額で支給される仕組みです。そのため「時給」という考え方はそもそも制度になじみません。
ここでは、大臣という地位に1時間いることそのものにかかっている金額の目安として、年間の歳費・期末手当の合計を、1年間の総時間(365日×24時間=8,760時間)で割って試算しました。
- 1人あたり:約2,190万8,000円 ÷ 8,760時間 = 約2,501円/時間
- 19人分(総理・全国務大臣が全員出席したと仮定):約2,501円 × 19人 = 約4万7,500円
つまり、仮に総理と全国務大臣19人が1時間、閣議の場に顔をそろえたとすると、歳費・期末手当を時間換算した金額の合計は、約4万7,500円という試算になります。
この試算が示していること・示していないこと
この数字は、あくまで歳費と期末手当という、法律で定額支給が決まっている2つの手当だけを、暦の時間で単純に割った試算値です。実際に閣議1回ごとにこの金額が新たに支払われるわけではありません。歳費は閣議のある日もない日も、1か月分がまとめて定額で支給されます。
また、この試算には、国会議員に別途支給される調査研究広報滞在費(旧文通費)や立法事務費、議員宿舎といった費用は含めていません。これらを含めると数字は大きく変わります。今回はあくまで「大臣の給与にあたるもの」に絞って試算しています。
リファレンス
- 国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律(e-Gov法令検索)
- 特別職の職員の給与に関する法律(e-Gov法令検索)
- 主な特別職の職員の給与(内閣官房内閣人事局・令和7年12月24日現在)
- 第2次高市内閣 閣僚等名簿(首相官邸)
- 歴代内閣(首相官邸)
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