メイソンジャーの名前だけ残して瓶をやめ 2024年には宇宙事業も売った ボール【あなたの知らないS&P500】

ボール(Ball Corporation)を紹介するアイキャッチ画像 あなたの知らないS&P500

果物や野菜を煮て詰め、蓋をして保存する。アメリカの家庭でそのために使われてきた口の広いガラス瓶に、「Ball」というロゴの入ったものがあります。いまこのブランドを預かる会社は、最初の1本が1884年に作られたと書いています。

ところが、「Ball」のロゴと商標をいまも持っているのはボールですが、この瓶を作って売っているのはこの会社ではありません。ボール(Ball Corporation、ティッカー:BALL)は1996年にガラス瓶の事業から手を引き、2024年には宇宙事業も売りました。残ったのは、アルミの容器を作る仕事だけです。

COMPANY FILE ── 500分の20社目

社名ボール(Ball Corporation)
ティッカーBALL(ニューヨーク証券取引所)
本社コロラド州ウェストミンスター
創業1880年(法人設立は1922年・インディアナ州)
業種アルミの容器(飲料缶・エアゾール缶・アルミスラグ)
日本法人2025年末の子会社一覧に、設立の州・国として日本の記載なし
公式サイトball.com(英語)
日本語サイト今回確認できず

何をしている会社か:売っているのはアルミの入れ物

ボールは、飲料・パーソナルケア・家庭用品向けのアルミ包装を供給する会社です。いちばん大きな商品はアルミの飲料缶で、そのほかに押出成形のアルミ製エアゾール缶、蓋を締め直せるアルミボトル、缶の材料になるアルミの円盤(アルミスラグ)を作っています。

2025年12月期の売上高は131億6100万ドル。決算では3つの部門に分けて報告されており、内訳は北米・中南米が48%、EMEA(欧州・中東・アフリカ)が30%、南米が16%です。このほかに、報告する部門に含まれない「その他」があり、売上高は7億3000万ドルでした。インドとミャンマーの飲料缶事業、エアゾール缶などのパーソナル・ホームケア事業、本社費用などがここに入ります。

従業員は2025年末で約1万6000人。うち米国が約5000人で、売上高の約53%は米国の外で立てています。

代表商品:北米・中南米だけで年に約500億本

缶の数で見ると、規模が分かりやすくなります。2025年にボールが出荷したアルミ飲料缶は、北米・中南米で約500億本。年次報告書は、この地域全体の出荷のおよそ36%にあたり、同社がこの地域で最大の生産者だと書いています。

EMEAでは380億本を出荷し、この地域の出荷のおよそ39%。南米では約200億本で、およそ46%です。いずれの地域でも最大の生産者だと年次報告書は説明しています。

誰に売っているのかも、はっきり書かれています。2025年12月期の売上高に占める割合は、アンハイザー・ブッシュ・インベブとその関連会社が15%、コカ・コーラ・ボトラーズ・セールス・アンド・サービシズとその関連会社が14%、レッド・ブルとその関連会社が11%。この3つで4割になります。

ボールが1880年から2024年までに手放したものと残ったものを示す沿革タイムライン

強み:アルミ価格の変動を契約で抑える

缶の材料であるアルミの値段は、ロンドン金属取引所の相場で動きます。材料が上がれば利益が減りそうなものですが、年次報告書は、ほとんどのアルミ飲料缶の販売契約にアルミ価格の変動を転嫁する条項を入れ、あわせてデリバティブも使うことで、この影響を抑えていると説明しています。

効き方も数字で書かれています。デリバティブや契約上の転嫁を考えたうえで、アルミ価格が10%不利に動いた場合の影響は、1年間で税引後の純利益が300万ドル減ると見積もられています。

もう1つ、この会社が繰り返し書いているのがリサイクルです。年次報告書によれば、2023年の世界のアルミのリサイクル率は75%で、2024年時点でボールの飲料缶は平均して74%が再生アルミでできています。

日本との関係:確認できたのは「記載がない」ことまで

年次報告書に添えられた子会社一覧(Exhibit 21)は、会社名と「設立した州または国」を並べた表です。この表に、日本の記載はありませんでした。工場の一覧にも日本はなく、北米・中南米、欧州、エジプト、トルコ、ブラジルなど南米、インド、ミャンマーの名前が並びます。

ただし、これは「設立した州・国の一覧に日本がない」という確認であって、日本での販売や取引がないことまでを示すものではありません。日本語の公式サイトも、今回は確認できませんでした。

身近な接点は、もう1つあります。S&P500に連動するインデックス投信を積み立てているなら、その投信を通じて、この会社への投資を間接的に含んでいることになります。

アメリカ人にとっては:台所の瓶と、デンバーのアリーナ

冒頭の瓶に戻ります。ニューウェル・ブランズの発表資料は、「Ball」のロゴと商標をボールが保有し、ラバーメイド社がライセンスを受けて使っていると書いています。「Ball」の保存瓶は、この仕組みで売られている商品です。ボール自身の公式沿革は、1996年の項に「広く知られているガラス瓶事業から撤退した」と書いています。会社は瓶づくりから離れましたが、名前のほうは台所に残りました。

もう1つの接点は、建物の名前です。2020年、ボールはクロエンキ・スポーツ・アンド・エンターテインメントとの提携で、デンバーにあるアリーナの命名権を取得しました。ボール・アリーナは、NBAのデンバー・ナゲッツ、NHLのコロラド・アバランチ、NLLのコロラド・マンモスの本拠地です。

トリビア:ブリキ缶が腐るので、ガラス瓶を試した

この会社の始まりは、缶でも瓶でもアルミでもありませんでした。公式の沿革によれば、1880年、5人兄弟のうちフランク・C・ボールとエドマンド・B・ボールが、叔父から200ドルを借りてニューヨーク州バッファローの小さな会社を買いました。作っていたのは、灯油や塗料、ワニスを入れるための、木のジャケットで覆ったブリキ缶です。

ところが、中身によって缶が腐食しやすいという問題がありました。そこで兄弟はガラス瓶を試し、うまくいったので瓶の工場を建てます。1887年には、豊富な天然ガスを求めてインディアナ州マンシーへ会社ごと移りました。1900年の国勢調査には、日産24万個・すべて機械製という世界最大のフルーツジャー工場がインディアナ州にある、という記述が残っています。

次の転機は宇宙でした。1956年にボール・ブラザーズ・リサーチ・コーポレーションを設立し、宇宙分野に入ります。この事業はやがて、1995年にハッブル宇宙望遠鏡を修理するための補正光学系を納め、2021年に打ち上げられたジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡では、光学技術と軽量のミラーシステムを設計・製造しました。

そして2024年2月16日、ボールはこの宇宙事業をBAEシステムズに売却しました。売却額は56億ドルで、税引前の利益は46億1000万ドル。公式の年表は、この年を「アルミに全振りする方針へ切り替えた」年として記録しています。

ガラス瓶をやめ、宇宙をやめて、1880年から続く会社に残ったのは、アルミの入れ物でした。

これであなたは、500社のうち20社を知りました。

リファレンス

※本記事はAIを活用して作成し、編集部が公的機関の発表などの一次情報にもとづいて事実確認を行っています。詳しくは編集方針・AI利用ポリシーをご覧ください。

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