予防接種を受ける前の「同意」のルールが、2026年9月1日に変わりました。
厚生労働省令第136号で、予防接種実施規則第5条の2にあった「文書により同意を得なければならない」から「文書により」が削除されました。「同意を得なければならない」という規定は残り、そのうえで、予防接種を行う者が同意の有無を電磁的記録として記録する規定が加わりました。
ただし、紙による同意をなくす改正ではありません。書面で同意の有無を示した場合の例外も置かれています。
「文書により」が消え、「同意を得る」は残った
改正されたのは、予防接種実施規則の「説明と同意の取得」を定める第5条の2です。この規則は法律そのものではなく、法律から委ねられて厚生労働大臣が定めるものです。官報に載った省令も、その書き出しで予防接種法第11条にもとづくことを示しています。
- 改正前:適切な説明を行ったうえで、「文書により」同意を得る。
- 改正後:適切な説明を行ったうえで同意を得る。そのうえで、同意の有無を「電磁的記録」として記録する。書面で同意の有無が示された場合は、この記録義務の例外とする。
では、「文書により」が消えると何が変わるのでしょうか。厚生労働省は、この改正の目的のひとつを「口頭による同意取得を制度上明確に位置づける」ことだと説明しています。デジタル予診票では、説明・診察を受けた後、被接種者が同意の有無を口頭で伝え、医師がその内容を被接種者に代わって入力する流れが示されています。紙の予診票は引き続き残ります。
ここでいう電磁的記録は、条文の中で、電子的方式や磁気的方式など、人の知覚では認識できない方式で作られる記録と定義されています。新たな記録義務の主体は、条文上「予防接種を行う者」です。
この省令は「公布の日から施行する」と定められているため、施行日は公布日と同じ2026年9月1日です。
デジタル予診票では「希望」と「最終の同意」を分ける
厚生労働省は、予防接種事務のデジタル化を進めています。紙が中心のいまの手続きでは、接種を受ける人には接種券などの書類の管理や予診票の手書きが、自治体や医療機関には接種券の郵送や費用請求の事務が、それぞれ負担になっていると説明しています。新しいシステム基盤によって、こうした負担を軽減し、効率化する方針です。
では、デジタル予診票を使う場合、実際の同意確認はどのような流れになるのでしょうか。
厚生労働省は2026年7月23日の第66回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会で、デジタル予診票での運用イメージを説明しています。ポイントは、接種前に入力する「希望」と、診察・説明を受けた後の最終的な「同意」を分けていることです。
- 被接種者は、医師の説明・診察を受ける前に、マイナポータルで接種を希望するかどうかを回答する。
- 医師が診察室で説明・診察を行う。
- 被接種者は、事前の回答にかかわらず、接種に同意するかどうかを医師に口頭で伝える。
- 医師が、その同意の有無を、被接種者に代わって医療機関の端末のデジタル予診票に入力する。
- 医師が、接種実施の可否を医療機関の端末のデジタル予診票に入力する。
- 同意があり、かつ接種が可能である場合に限り、医師が接種する。
これは、厚生労働省が分科会で示したデジタル予診票の想定フローです。事前にマイナポータルで「接種したい」と回答したことだけで、最終的な同意が済んだ扱いにするという説明ではありません。
なお、デジタル化は全国一斉ではありません。厚生労働省の資料では、2026年7月23日時点で開始していたのは10自治体です。同省は2028年4月までの間に全国で順次展開するとしていますが、システム改修が間に合わない自治体が一部あるとも注記しています。

紙の予診票も引き続き使える
今回の改正を「予防接種の同意がすべてデジタルになる」と読むのは正確ではありません。
新しい第5条の2には、被接種者または保護者が書面で同意の有無を示した場合は、電磁的記録として記録する義務を適用しないという、ただし書きがあります。
また、7月23日の分科会で厚生労働省は、デジタル化後も紙の予診票を引き続き利用できる運用だと説明しています。紙の場合は、被接種者が予診票に回答を記入し、医師の説明・診察を受けたうえで、同意の有無も自分で予診票に記入します。つまり、今回の改正は紙を一律に廃止するものではなく、デジタル予診票を使う場合の同意確認と記録の仕組みを整える変更と読むのが適切です。
変わらないのは「説明して、同意を得る」という骨格
同意の示し方・記録に関する条文は変わりましたが、第5条の2には、予防接種の有効性・安全性・副反応について理解を得られるよう適切に説明し、そのうえで同意を得るという骨格が残っています。変わったのは、同意を「文書により」得るとしていた要件と、その後の記録方法です。
【コラム】署名は、いちばん確かな方法だったのか
厚生労働省は7月の分科会で、デジタル予診票で口頭の同意と医師の入力を制度上はっきりさせる背景として、これまでの署名による同意取得と比べたときのことにも触れています。署名の偽造や書き漏れ、説明や診察を受ける前に署名して接種した後で異議を申し立てる、といった争点が生じにくくなる、という説明です。紙に名前を書いてもらうことは、いちばん確かな方法に見えます。ただ、その一枚が後から何を証明できるのかは、書いてもらった時点では分かりません。
リファレンス
- 2026年9月1日 官報 本紙第1780号 2ページ(内閣府):予防接種実施規則第5条の2第1項の改正と施行日を確認
- 厚生労働省「予防接種のデジタル化」:紙中心の予防接種手続きの課題とデジタル化の背景を確認
- 厚生労働省「予防接種事務のデジタル化の施行状況と今後の方針について」:紙予診票・デジタル予診票の運用、口頭同意・代理入力、展開状況を確認
※本記事はAIを活用して作成し、編集部が公的機関の発表などの一次情報にもとづいて事実確認を行っています。詳しくは編集方針・AI利用ポリシーをご覧ください。


